第176幕
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「俺たちは早急にエリザベスの居所を突き止めねばならない。だが記憶もあやふや。それも遥か昔の出来事となると容易いことではない。そこでだ」
レストランから桂とエリザベスが住居として使っていた家へと移り、桂が押し入れから取り出した多数のプラカードを眺める。
ズラァァァと並べていくプラカード。
「ヅラじゃない桂だ」
「いや、誰も何も言ってませんよ」
「何アルか、ヅラこれ?」
「ヅラじゃないプラカードだ。これに身に覚えはないか?」
桂が出してきたのは"小娘どもはおうちに帰ってあいのりでも見てな!!"と書かれたプラカード。そのプラカードを見ても海はピンと来なかった。
「あっ、これは人気投票篇でエリザベスさんが喋ってたセリフ」
『人気投票篇?』
「あぁ、海さんは知らないんでしたっけ。以前、人気投票取った事あったんですよ。僕らの」
『ふーん?』
全く身に覚えのない海に新八がこと細かく説明するが、海は興味無いという風に聞き流した。
それははたから見ると、除け者にされてしまって寂しがっているような姿。
「なーに拗ねてんのよお前は。俺の中での人気投票はダントツで海が一位だからなんも心配いらねぇよ」
『別に拗ねてなんかない』
「拗ねてんだろうが」
プラカードを一つ一つ手に取って書かれているセリフを見る海の頭へと乗る銀時の手。よしよしと撫でる手に少しずつだがささくれた気分が和らいだ。
『あっ……』
「ん?どうした?」
いくつもあるプラカードの中から取り出したもの。
"海さん、お帰りなさい"
『これも残ってたのか』
「それって確か……」
『銀時たちが迎えに来てくれた時のやつだな』
海が実の父親に唆されて天人の船に乗り、銀時たちが必死になって助けてくれた時のもの。
地球に帰ってきた海にエリザベスが見せたプラカード。
「ほんとに全部残ってんだな」
『エリザベスが居なくなった手掛かりがこの中にあればいいんだけどな』
懐かしいプラカードをそっと端に置き、海と銀時は他のプラカードへと手を伸ばした。
『どれもこれもテレビのネタばっかじゃねぇか!』
プラカードを一つ一つ確認していた海の横で桂がプラカードの思い出を語る。それはどれもテレビCMの話ばかりで、エリザベスの行方が分かるものではなかった。
「待て海……このプラカードは……」
『あ?なんかあんのかよ』
プラカードをじっと見つめて何かを思い出そうとする桂。
「確かこのセリフはあの時……」
"そう、あの日は身も心も凍えるような冬の寒い日だった……"
『なに?回想始まんのか?言っとくけどこれ小説だからな。お前がその時の情景を思い出しながら話していたとしても所詮は小説だからな?文章でしか表現出来ねぇから。後は読み手の問題になってくるし、俺はそこまで説明しないからな?どんだけ情景描写と心理描写がめんどくさいかわかってんのか?あ?』
回想モードに入った桂に海がグチグチ文句垂れ、見かねた銀時が海の口を手で塞ぐ。機嫌悪そうに銀時を睨んだ海に「お前はちょっと黙ってようね、良い子だから静かにしとこうね?」と抑え込まれた。
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