第191幕
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『これでいいか』
攘夷浪士たちを一人残らず拘束し終え、海はほっと息を吐いた。
近藤への報告は朔夜に任せた。きっと今頃、報告を済ませた朔夜が近藤と山崎を引き連れてここに来るだろう。
昏倒している攘夷浪士たちを海はおもむろに見下げた。なんだか事が上手く運びすぎている気がしてならない。
『気の所為、か』
攘夷浪士たちが鉄之助を襲う理由はあった。そのせいで、真選組と見廻組がかち合うことも。
だが、真選組と見廻組が対立する事になる理由は?鉄之助を助ける為とはいえ、見廻組が真選組をけしかけるなんてことあってもいいのか。それにあれでは一方的に真選組がやられているような状況。
『いくら鉄之助が誘拐されたという失態があったとしてもな。あそこまでやるかよ』
佐々木は鉄之助のことをよく思っていなかった。なんなら存在を消しても良いと言ってしまえるほどに。そんな相手の為に部下を引き連れて来るだろうか。親族とはいえ、疎ましく思っていた鉄之助を助けようと……いや、攘夷浪士諸共殺そうとしていたが。
『……どうもきなくせえ』
なんだか真選組を潰そうとしているような。そんな考えが脳裏をよぎる。口では真選組のことを尊敬していると言っていたが、それも怪しいものである。
佐々木という人物についてもう少し調べた方がいいかもしれない。
「副長補佐!」
考え込んでいた海の元に山崎が駆け寄ってきた。その後ろには近藤と朔夜もいる。
『悪いな』
「いえ!これで全員ですか?」
『あぁ、頼めるか?』
「はい!任せてください!」
ピシッと綺麗に敬礼する山崎に微笑を浮かべる。普段からバドミントンばかりしているようなやつだが、いざという時に頼りになる。多分。
「兄さん?どこに行くの?」
その場を山崎たちに任せ、海は一人で階段へと向かう。その背に朔夜の声がかかり、海は振り返らずに答えた。
『ちょっとな』
「ちょっと?」
『外に出てくる』
それだけ残して海は階段を下りた。
先程、外を見た時はまだそこに居た。土方の刀を身体で受け止めた佐々木は痛みに顔を歪めながら部下に指示を出していた。
話を聞くなら今しかないだろう。部下が周りにいない一人の間に。
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