第188幕
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「ちなみにマヨセンでもメンソールでも欲求不満でもねぇ!マヨボロだ、覚えておけ!」
「うっす……副長……」
「ちょ、ちょっと副長?」
一連の流れを見ていた隊士が口元を引き攣らせながら声をかけた。
「何、サボってんだ。切腹させんぞ」
「いや、切腹ならあとでしますけど……あの、それ……誰ですか?」
「寝ぼけてんのか。お前らにも紹介したろ。こないだ俺の小姓になった……」
「佐々木 鉄之助ですよ」
やっと販売機から頭が抜けた鉄之助は隊士たちの方を向いて改めて名乗った。
その顔は先程とは打って変わって、可愛らしい表情。まるで綺麗なジャイア○のように……。
「いや、知んねぇけどこんなヤツー!」
「すいません。自分、ベビーフェイスが恥ずかしくて、グラサンで隠してたものですから」
「いや、なんでグラサンかけただけで、ヒゲ生えたり抜けたりしてんの!?」
「色々思うところありまして、今までの自分は綺麗さっぱり捨て、新しく生き直すと決心したっす!Bボーイはもう卒業、BからCへと一歩階段を上がって、大人になった今の自分はCボーイっす!」
「いや、大人どころか子供に戻ってますが!?」
「これからは副長に尽くし、自分も真選組を、江戸を守るために尽力するっす!」
状況が読めていない隊士たちに鉄之助は深々と頭を下げる。取り巻きの友人たちにも頭を下げるように声をかけていたが、その取り巻き達も異様な姿をしていた。
『おい。そこで何してんだよ』
「あっ、副長補佐!聞いてくださいよ!副長の小姓がなんかやべぇ事になってて!!」
『は?』
たまたまそこを通りかかった海が廊下で立ち尽くしている隊士達を怪訝そうな顔で声をかけた。手には書類を持っており、立ち尽くしている隊士たちの中に土方の姿を見つけると、手元の書類をがさがさとめくっていた。
『お前ら遊んでんじゃねぇよ。パトロールはどうした。それと土方、これ終わらせたから確認してくれ。大丈夫そうならそのまま近藤さんの所に持ってく』
「あ?あぁ、貸してみろ」
数枚の紙を土方へと渡し、読み終わるのをじっと待つ。その間にも隊士たちは鉄之助を指差して海に訴えていた。
「俺たちあんな小姓知らないっすよ!あのボンクラ小姓はどこに行ったんですか!?」
『そこにいるだろ』
「あれ違いますって!綺麗すぎますよ!」
『泉にでも落ちたんじゃないか?』
「そんな冗談聞きたいわけじゃありません!」
軽く受け流す海に隊士が焦れて声を大にして叫ぶ。その大きさに海は眉をしかめ、隊士に静かにしろと一言注意をした。
「あっ、副長補佐!お疲れ様です!」
『あぁ、お疲れ』
「書類整理ご苦労様です。後でなにか甘いものでもお部屋にお届けしましょうか?」
『ん、頼む』
こくりと小さく頷いた海に鉄之助は嬉しそうに笑う。そんな二人の会話に隊士たちは口をあんぐりと開けて呆然。
「「(なんで普通に会話してんだよ!!気づいてねぇの!?)」」
鉄之助の見た目についても、態度についてもなんら違和感なく接している副長と副長補佐。あぁ、もうこの二人、仕事のし過ぎで頭だけでなく、目も悪くなってしまったのかもしれない。これは早急に局長に知らせて休みを取らせなくては。
隊士らは顔を見合わせて深く頷き合い、局長室へと走っていった。
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