第187幕
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「何の用だ」
「おやおや、私はあなたがたが暴漢に襲われていたので来たまでですよ」
土方は即座に海と佐々木の間に身を滑らした。海を背に庇うように立ち、佐々木と対面する。
「あ?なんの事だそりゃ」
「倒れていたじゃないですか。桜樹さんが一人で困っていたので、手を差し伸べただけですよ。ね?」
『……っ』
土方の肩越しに海に同意を求める。海は佐々木の目から逃げるように隠れた。
「おい。うちの補佐をからかうのはやめてくんねぇか」
「冗談。からかってなどいませんよ。ですが、怖がらせてしまったのであればすみません」
子供が見知らぬ人間に会って、人見知りをしているような。そんな子供に優しく謝っているかのような態度の佐々木に、土方の機嫌は少しずつ下がっていく。
「桜樹さん、仲直りしましょう。どうですか?これから親交を深めていく為にメールでもしませんか?」
『……は?』
何を言っているんだこいつは、と目が丸くなる。先程まで佐々木に感じていた嫌なものはなくなり、ただ純粋に海と話がしたいという佐々木の思惑に海は戸惑った。
「副長さんもどうですか?メール」
「するわけねぇだろうが……あ!?」
「そうですか。それは残念ですね。副長の携帯にもうサブちゃんで登録してしまいましたよ」
佐々木が土方と海の横を通り過ぎた一瞬の間に土方の携帯を奪い取って弄っていた。相手に言われて気づいた土方は、自分の胸元を探って携帯がないことに驚き、佐々木を睨みつける。
「……そう簡単にはいきませんね」
『警察という身分にしては大分手癖の悪いヤツだな』
「私はただ、貴方とメールがしたいだけですよ」
『そんなもん自分の部下としてろよ』
海の胸元へと伸びていた佐々木の手は海の手によって掴まれていた。土方のは易々と奪えたが、海の携帯は触れることも出来ない。佐々木は少しばかり眉を上げただけで、それ以上は何もしてこなかった。
「相当嫌われてしまったようですね。第一印象が大事だと言うのに私はなんてこと。桜樹さん、申し訳ありません。次は嫌われぬようにしますので」
その後、佐々木は弟である鉄之助のことを雑な扱いをして帰っていった。
その後ろ姿を海はキツく睨みながら見送り、八つ当たりと称して土方を再度蹴り飛ばした。
「なんで俺ェ!?」
『ムカついたから。お前簡単に携帯取られてんじゃねぇよ』
「それは……」
『よかったな。相手が刃物持ってなくて』
「ぐっ……」
土方を鼻で笑い、海はバイクの元へ戻る。バイクに股がってエンジンをかけた時に銀時の言葉をふと思い出して苦々しい表情をした。
帰り道、辺りに常に気を張って帰った為、その日はやたらと疲れた。
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