第187幕
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「お前がコイツにバイク乗らせたのかよ」
「そうだ。生憎、今日はこっちが定員オーバーでな。海には別の乗り物に乗ってもらうことになった」
「なら大人しく屯所に居させればいいだろ。こんなモンに乗せてまで連れていく理由がわかんねぇ」
海を挟んで行われる口喧嘩。普段見なれているものだからあまり気にはしないのだが、今日はいつもより銀時の言い方がキツい。
「副長補佐である海を連れて何が悪い」
「あ?補佐ってだけだろうが。別にてめぇのペットじゃねぇだろ。パトロールごときに何人必要なのかねぇ?」
『銀時、あいつらは違……』
「黙ってなさい」
パトカーに乗っている鉄之助たちを冷めた目で見る銀時に海が違うと声をかけるも、銀時は海の言い分を聞かずに遮った。
「コイツはお前の私物じゃねぇんだよ。そこんとこちゃんとしてくんない?」
「はっ。てめぇのなら何言ってもいいってか?こいつの上司は俺だ。俺の指示には逆らえねぇだろ」
「ならンなとこ今すぐ辞めさせる」
「てめぇに出来んのかよ」
ヒートアップしていく喧嘩に鉄之助たちが慌て始め、助けを求めるように海を見る。
いい加減二人の言い合いを止めないといけないか。ヘルメットを取り、バイクのスタンドを下ろして海はバイクから降りた。
『もういい加減にしろよ。こんな道路のど真ん中で言い合うような事でもないだろうが。なんなの?お前らは顔合わせたら喧嘩してないと気が済まねぇの?本当は仲良しだろ、お前ら』
「「違ェよ!!こいつが突っかかってくるだけだろうが!!」」
『ハモらせて言うな。なんかムカつく』
「え?嫉妬?妬いたの?大丈夫だよ?俺は海しか見てないから。こんなマヨラー大嫌いだから大丈夫だよ?」
『いい加減にしろって言ったのがわかんねぇのかバカ』
「海、てめぇよくそんなクソ天パ野郎とまともに話出来るな。俺には到底出来ねぇわ」
『土方!お前もやめろって言ってんのがわかんねぇのか!』
煽り合う二人についに海がキレた。銀時の髪を鷲掴んで引っ張り、鳩尾へと膝蹴り。それを見て鼻で笑った土方の頭を蹴り飛ばした。
「や、やべぇよ……あいつやべぇよ……」
青ざめた顔でこちらを見ていた鉄之助を睨みつけて黙らせた。
『ホントに転職考えた方が良さそうだな』
ここ数年で何度転職を考えたか。何回も見過ごしてきたが、今回ばかりは見過ごせない。帰ったら職探しでもするか、と思い始めた海の前に現れる白。
『……見廻組?』
真っ白な服に身を包んだ男たちが車から降りてきて、地面に倒れている銀時の手を掴んで手錠をかける。その容疑は公務執行妨害。
「大丈夫でしたか?桜樹さん」
銀時をパトカーであろう黒塗りの車へ連行しているのを唖然として見つめていた海にかけられる声。ハッと我に返って振り返った先にいたのは、眼鏡をかけた男。
『お前は……』
「どうも。お初にお目にかかります。見廻組局長、佐々木異三郎と申します。以後、お見知りおきを」
海に向けて敬礼をした後、佐々木は土方の方へと目だけ動かした。
「お怪我はございませんか?桜樹さん。どうやらあの男が暴力を働いたようですが」
『え?あ、え?』
すみません。二人やったのは自分です。と言い出せずに、海は視線をさ迷わせる。銀時が公務執行妨害と見なされたのは、土方が倒れているせいだったのか。
「どこかお怪我でもなされましたか?それなら早く病院に行きましょう」
『い、いや、怪我はしてない。それとそいつが土方を蹴ったわけじゃ……』
「そうですか。怪我をなされてないのであれば構いません。お綺麗な顔に傷など残したらもったいないですからね」
怪我はないという所だけを受け取った佐々木。すらりと伸びてきた佐々木の手は海の頬へと触れた。
その手の感触にぞわりと鳥肌がたち、咄嗟にその手を叩き落としてその場から数歩後ろへとさがった。
「おや。嫌われてしまいましたかね」
残念だ、と口にしていながらも表情一つ変えない男に怪しさが増した。
「そんな怖い顔で見ないでください。何もしませんよ。私、真選組のファンですから。特に貴方は……」
中途半端なところで切られた言葉に海は気にはしたが、視界の隅でのそりと起き上がった黒に気づいて声をかけた。
『土方……!』
「いってぇ……クソッ、海お前手加減しろよ、手加減……?」
痛む頭を押さえながら土方は海の方を見る。海の前に立っている男と目が合った瞬間、土方の顔が強ばった。
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