第186幕
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「さて、邪魔者は居なくなったわけだ」
女性客を見送った銀時は先程まで彼女が座っていた場所へと腰を下ろす。
『お前、言い方考えろよ』
「俺にとってはそのままだけど?あのまま二人きりにしてたら……いや、もう既にか。あの女海に色目使ってただろ」
『色目?なんの事だよ』
「ほら気づいてない」
色目と言われて思い当たる節がない。あの女性客はホストクラブに来るのは初めてだと言っていた。それ故に彼女は緊張していた。そんな状態で色目なんて使えるだろうか。
『色目なんてなかっただろ。知らねぇけど』
「海が気づいてなかっただけでしょうが。大体、なんだよあの笑いかた。いつもあんな顔しねぇだろ」
『ホストやってるならあれくらい普通じゃないのか?』
「海がやるとそれはホストを越えるから」
『は?』
ただの笑みひとつにどんな効力があるというのだ。その事について銀時は深く話すことはなく、海の中で疑問だけが残った。
「あー……もう帰りてぇ」
『マダムが来るまでは頑張れよ。もうそろそろ来るんだろ?狂死郎はどこにいるんだ?』
「あ?オカマ共にもみくちゃにされてる」
『……それいいのかよ』
西郷の仲間のオカマたちのことはよく知っている。気に入った人間に対してべったりするのを。そしてそのしつこさを。
『生きてんのか』
「多分?大丈夫じゃね?俺らが気にする事はねぇよ」
それよりも。と銀時に腕を引っ張られて海は銀時の側へと寄った。
「今日一日はホストなんだろ?」
『それは銀時もじゃないのかよ』
「そりゃそうだけどよ。俺は海にもてなされたいんだけど?」
綺麗なグラスを手に取って銀時はニヤリと口元を緩めた。
『はぁ……さっきの客みたいにしろってか』
「さっきの女よりもっと甘くがいいけどな?」
『期待すんなよ?』
酒瓶を取って銀時が持つグラスへと注ぎ込む。溢れそうになった液体を銀時は慌てて啜り、海を軽く睨んだ……が、海の顔を見た途端、ぶわりと顔を赤くした。
「お前……その顔は反則だろっ!!」
『何がですか?私はただ、もてなしてるだけですよ』
ふにゃり、と笑いかけて酒を勧める。逃げようとする銀時の腰へと手を回して身体を密着させた。
『まだちゃんと銀時を悦ばせてない。だから逃げんなよ、銀』
耳元でそう呟くと、首まで真っ赤にした銀時が海に抱きついてきた。
そこまで銀時を翻弄したことにより、海の中で渦巻いていたものは散っていった。
「ばか海」
『はいはい。銀時がやれって言ったんだからな?』
「言ったけども!言ったけどよ!!」
『言ったけど?』
「……そんな可愛く言われたら襲いたくなるだろうが」
『どこに可愛さを見出したんだ』
自分の中ではかっこよく言ったつもりなのに、銀時の中では可愛さに変換されていた。それが気に入らなくて、海は銀時から身体を離し、キッと睨みつけた。
それから一時間ほど銀時に問い詰め続けていたとか。
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