第186幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あの……皆さん、私は"店にお客さんを捕まえてきてください"と言ったんですが……なんであなたたちの方が警察に捕まってるんですか」
狂死郎の前に並ぶのは、手錠をかけられた銀時たち。その横には海と土方、総悟が立っていた。
「店長、この腐れポリ公の邪魔さえ入らなければ、僕ら確実に女の二、三人落としてました」
『そうか。それは仕事のできるホストだな。ならば俺も仕事するかな。お前の首を落とすという仕事を』
すらりと鞘から刀を抜いて銀時の首元へと寄せる。海の目は澱んで暗くなっていた。
「だから!これは仕事だから!ね!?仕事なの!!さっきも説明したでしょ!?嫉妬してくれるのは嬉しいけど、嫉妬の仕方が怖ェよ!!」
『なっ、別に嫉妬なんかしてねぇよ!!』
「ちょ、海!!刀!当たって……!ギャーーーッ!!!」
恥ずかしさで手元が狂い、刀を持つ手に力が込められる。刃が銀時の首へと近づく前に銀時が背を逸らして逃げた。その代わり、銀時の前髪がハラハラと床へ落ちたが。
「その物騒なもんしまいなさい!!」
クワッと目を見開いて海の持つ刀を指差す銀時は必死の形相。その顔に驚いた海はすぐさま刀を鞘へと戻した。
『わ、悪い……』
「俺じゃなかったら死んでたからね!?俺でも死にかけたんだからね!?」
「あら、銀さんは一回死んだ方がいいんじゃないかしら」
「姉上!何言ってんですか!?」
「だってそうじゃない。海くんを前回泣かせてるのよ?銀さんは一度痛い目にあわないとダメよ」
笑いながら言うお妙を新八が必死に止めようとするも、お妙に頭を殴られてしまったせいで新八はその場に沈んでしまった。そんなお妙に銀時は口元を引き攣らせながら言い返した。
「痛い目というか、痛い思いをする前にあの世に行きそうなんだけど?もはや痛みの概念ない世界に行きそうなんだけど!?つか、テメェが泣くように指示したんだろうが!」
「やだ、人のせいにするつもりなの?元はと言えば銀さんの酒癖の悪さから来てるものじゃない。それを棚に上げて文句言うなんて大人気ないわね」
「ンなもんに大人気もクソもあるか!!次、あんなマネしてみろ!許さねぇからな!?」
ギャーギャー喚き散らす銀時とお妙の二人に周りの外野は呆れを通りこして無視を決め込んだ。
二人の話の中心となっている海も二人から目を逸らして狂死郎の方へと向く。
『何があったんだ?』
「あぁ、実は──」
疲れきった顔で狂死郎は銀時たちを呼んだ理由を話し始める。マダム、という人物に恐れたホスト達の代わりを銀時たちに頼もうとしていたのだが、上手くいかなくて困っている。
それどころか、マダムが来ることによって店が潰れてしまうのではないかという不安を零した狂死郎は、普段纏っている華やかさを失い、頼りなさげに海に笑いかけた。
『何か手伝えるなら……』
「そんな……桜樹さんに手伝ってもらうなんて」
『困ってるなら手は貸すけど』
一応これでも町の為に働いているのだから。と付け足すと、狂死郎は頭を抱えて唸った。
「桜樹さん」
『なんだ?』
「今日だけでいいからホストになっていただけませんか?」
『……わかった』
ホストなんてやった事がないからどうやるのか分からない。それでも、目の前に困っている人間がいるのであれば、出来る限り手を貸してやりたい。
海は考える事もせずにこくりと頷いて了解の意を示した。狂死郎はどこかホッとしたように胸をなでおろして、気の抜けた笑みを浮かべた。
.