第185幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ただいま』
「ただいま戻りましたー」
ガサガサと買い物袋の音をたてながら万事屋の戸を開けて中へと入った。
米や野菜やらと色んなものを買ってきたせいで、買い物袋は4つほどある。それを玄関先にどさりと置いてぐっと背を伸ばした。
「海さん、お肉とか先に冷蔵庫入れてきちゃいますね」
『おう。頼む』
新八には軽い荷物しか持たせていなかったから、海ほどは疲れていない。疲れて動けない海の代わりに、新八は買い物袋を手に冷蔵庫へと歩いていった。
『さて……説明するか』
残りの食材も新八に頼んで、海は銀時がいるであろう寝室へと向かった。
襖に手をかけて開けようとしたのだが、その手は襖を開けることなく止まる。最後に会った日のことを思い出して、海は銀時になんて声をかければいいか悩んでしまった。
「…………海?」
どうしたものかと悩んでいると中から声をかけられ、大袈裟なくらい肩がビクリと跳ねた。
「なんでここに?」
『話がある。入るぞ?』
「はな……し?」
襖越しに頷き、海は意を決して襖を少し開けた。一瞬、銀時の姿が見えたかと思ったら、すぐに視界は襖によって遮られた。
ぴしゃん!と襖は閉められ、しかも内側から開けられないようにと押さえられている。その事に海は意味がわからず戸惑った。
『銀時?』
「お、俺には話なんてねぇから!」
『いや、俺にあるんだよ。だからここ開けろって』
「だから話なんか無いっての!」
『お前に無くても俺にはあるって言ってんだろうが!』
襖越しに騒ぎ散らす海たちを新八が心配そうに見つめているのに気づき、海は苦笑いしながら新八に少しの間だけ外に行っていて欲しいと頼んだ。新八は嫌な顔せず、一つ頷いて静かに万事屋を出て行った。
それを見送ってから海は右足を振り上げる。
『銀時、後で直すから今は許せ』
「え?」
振り上げた足は襖を突き破る。当然、襖を押えていた銀時も蹴りの餌食となって畳の上を転がった。
「なに!?なんなの!?」
『お前が人の話聞かないからだろうが』
「だからさっきから言ってんだろうが!俺には無いって!なに!?そんなにお前は別れ話したいの!?」
"別れ話"の一言に海は目が点になる。もしかして銀時は何か誤解をしているのではないか。
『銀、ちゃんと一から全部説明するから俺の話聞いてくれ』
「い、一から……?」
『ん。別れ話なんかしねぇから。ちゃんと聞いて』
怯えた顔で座り込んでいる銀時の前に膝をつき、出来る限り優しく聞こえるように喋る。そのおかげか、強ばっていた表情は少し柔らかくなり、銀時は海としっかり目を合わせた。
「別れ話じゃないなら聞く」
『違うから。むしろ銀時怒るかもしんねぇ』
「へ?」
今は訳が分からないから怖がっているかもしれないが、全てを聞いたら銀時は今まで騙していたのかと怒るかもしれない。その時、海はなんて言えばいいのか。
『(その時はその時だな)』
下手したら銀時から別れ話をされるかもしれないなぁなんて思いながら、海は銀時に全てを話した。
.