第185幕
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あれから数日後、事は海が思っていたより深刻になっていた。
『は?どういうこと?』
「だから、銀さん凄く凹んでるんですよ。家に帰ってきても一言も喋らないし、ご飯作っても一口も食べないんです!何か知りませんか!?」
血相変えて屯所に飛び込んできたのは新八だった。山崎にどうしたのかと聞かれながら海の部屋へと案内された。
『お前は何も知らないのか?』
「姉上達が銀さんに断酒させようと色々と手を回してることですか?」
『あぁ。その他は?』
「その他?それ以外は分からないです。聞いても姉上は教えてくれませんでしたし、聞くのもなんか恥ずかしいというか……」
そう言って新八は顔を赤くさせながら畳をじっと見つめた。
新八の言いたいこともわからなくもない。お妙たちの嘘は新八にとっては少し過激な話かもしれない。銀時があの場にいた女性全員を抱いた、みたいな話になっているのだから。
『そう。んで?その断酒作戦はどうなったんだ?』
「上手くいったみたいです。もう少しでネタばらし、なんですけど……皆が想像してたよりも銀さんが凄く落ち込んでて……」
『……俺のせい……か』
「え?」
もしそうなのであれば、そろそろこちらもネタばらししなくてはいけないだろう。海がついた嘘にそれほど落ち込んでいるのなら早々に教えてやらねばならない。
海の頭の隅にいつまでも居続ける銀時のあの悲痛な顔もそろそろ追い払ってしまいたい。
『いや、なんでもない。銀時は今どこに?』
「家に居ます。仕事も手につかないみたいで」
『わかった。なら今から行くか』
「え!?いいんですか!?」
『いつまでもそんなんじゃ困るだろ?』
仕事もままならない。家事も出来ないでは、新八と神楽の負担が大きくなってしまう。普段もやる気がない男なのだ。それ以上となるとただのめんどくさい人間と成り果てる。
そうさせてしまったのが自分なのであれば、一言言いに行かなくては。なんならそのついでにご飯でも作っていってやればいい。嘘をついてしまった詫びとして。
隊服のまま海は新八を連れて部屋を出る。庭でミントンしていた山崎に出掛けてくると一言残して。
『新八、冷蔵庫の中身は?』
「あ……なんも入ってないです……」
『いつもの事だな。スーパー寄ってもいいか?』
申し訳なさそうに俯く新八に苦笑いを浮かべ、しょげた頭を雑に撫でた。聞いてすぐに返答が返ってきたあたり、毎日冷蔵庫の中身を確認していてくれたのだろう。新八が銀時の体調を気にしてくれているのだと悟り、こんなに出来た弟子はそうそういないだろうなぁと笑った。
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