第184幕 裏有
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「おーーう!海ィ!飲んでるかァ!?」
『やめろ、離せ』
「つれないこと言うなよー!」
グイッと着物の襟を引っ張られて右隣に座っている銀時の方へと身体が引き寄せられる。持っていたコップをテーブルへと置き、海は嫌そうな顔をしながら銀時の膝の上へと頭を乗せた。
「ちゃんと飲んでるかー?」
『飲んではいる。つか、お前は飲みすぎだろうが』
ここに来た時の銀時にはまだ理性があった。海が来るまで酒を飲むのを抑えていたんだと笑っていたのを見て、海は申し訳なさそうに、でも自分を待っていてくれたんだという嬉しさを感じた。
銀時たちと乾杯してから一時間程。銀時は既に酔っ払ってベロンベロン。周りのヤツらもアルコールが回ってきたのか、先程よりも騒ぎ散らしていた。
「海、」
『うん?』
騒がしい部屋の中でポツリと聞こえた声に顔を上げる。真上にある銀時の目はしっかりと海のことを見ていた。
「すき」
『……ん、俺も好き』
ふにゃりと笑う銀時に海も緩い笑みを浮かべる。銀時みたいに完全に理性を吹っ飛ばしているわけではないが、アルコールを摂取したせいで多少なりとも海の思考は緩くなっている。
だから何も考えずに海は好きだと呟いた。
「ふふ……大好きだよ、海」
『うるせぇ、何度も言うなバカ』
「大好きだから何度でも言うわ。なぁ、海」
『なんだよ……』
銀時から顔を背けようと身動ぎしたのだが、銀時の手によって元に戻される。むっと不機嫌気味に再度銀時の顔を見上げた時、ぞくりと鳥肌が立った。
「便所、行かねぇ?」
『かわ……や?』
「うん」
行かないか?と聞いている癖に、声色は海に圧をかけていた。行かないという選択肢を選ばせない為に。
見上げた銀時の瞳は欲を孕んでギラついていた。その目に海は驚きつつも、認めたくない期待を胸にしていた。
『……ん』
行くとは言わずにこくりと頷く。その反応に銀時は嬉しそうに笑い、海の手を取って部屋を出た。
銀時に手を引かれながら海は赤くなった顔を冷まそうと手で扇いだ。これは酒のせいだと自分に言い聞かせて。
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