第184幕 裏有
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なんだい、もう飲んでるのかい?つれないヤツらだねぇ」
ゆっくりと開けられた襖の先に居たのは、遅れてくる予定だったお登勢たち。今年世話になった人間を集めて宴会をすることになっていたのだ。
「おー!来た来た……って、海は?」
店員に酒の追加を頼みながらちらりとお登勢たちの方を見やる。そこに居るはずの海の姿はなく、銀時はあからさまに肩を下げて落ち込んだ。
「声はかけたんだけどね。仕事が残ってるから遅れてくるってさ」
「年末だからきっと忙しいんでしょうね」
はぁ、とため息をつくお登勢の横でお妙が苦笑いを浮かべる。
仕事バカの海のことだ。きっと自分の分は終わらせていても、上司である土方や近藤の分まで手をつけているのだろう。こんな日くらいそんなもの投げ出してしまえばいいのに。
きっと彼はそんな事はしないだろうけども。
「遅くなるってどんくらい遅くなんのよ」
「さぁねぇ。書類がどうとかって言ってたけど。それ以上は私は聞いてないよ」
座敷に上がったお登勢は出された酒へと手をつける。それを皮切りに他の奴らも酒を飲み、飯を食いと楽しみ始めていた。
「(なんだよ。楽しみにしてたのによ)」
笑い声が響く部屋でただ一人、銀時だけが心の底から楽しめずにいた。
宴会のことは二週間ほど前に海に伝えていたこと。忘年会と称して皆が集まるから海も来るようにと言ったら、海は目を丸くしてから嬉しそうに笑った。きっと本人は平常心を保っていたつもりなんだろうけど、明らかに嬉しそうだった。
"俺が参加しても大丈夫なのか?"と言ってきた海に銀時はへらりと笑い、むしろ海が来なければ盛り上がらないのだと返すと、きょとんっと首を傾げていた。
こいつはいつになったら自分がかぶき町の華になっている事に気づくのだろうか。海が居るだけでどれだけ周りが喜ぶか知らなさすぎるのだ。
「早く来ねぇかな」
「海さんですか?」
「迎えに行くアルか?」
「いや、来るって言ってるなら来んだろ」
迎えに行こうと腰を上げた神楽を銀時は制す。約束をしたのだから、どれだけ遅れても顔は出しに来るはずだ。
それまではあまり飲まないようにしておこう。そう思って二杯目の酒にはあまり手を出さなかった。海が来た時に酔い潰れてましたではシャレにならない。
飲むなら一緒。そうでなくてはつまらないではないか。
.