第183幕
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走っていく朔夜の背中を見つめ、視界から消えた瞬間に詰めていた息を吐いた。
『痛ぇ……』
朔夜の前では痛みを顔に出すことはしなかったが、居なくなってしまえば素直に言えるというもの。
ズキズキと痛む背中。朔夜に抱えられた瞬間、痛みに呻きそうになった。声を出さずによく耐えたものである。
『あー……これはしんどいな』
起き上がろうと地面に手を付き、腰を上げようとすると酷く痛んだ。それを耐えて状態を起こし、木を背にして座った。
立ち上がろうと足に力を入れてみたが、痛みに負けて力が抜けてしまった。
こんな雪山で怪我をしてしまうとはなんとも情けない。朔夜を守るためとはいえ、もう少しやり方があったか、と思ってももう後の祭り。後悔するよりも、この状況を打開することに頭を使わなくては。
『朔夜が銀時たちを連れてくるまでこいつらをどうするかだよなぁ』
ちらりと横を見ると、そこにはこれまで見たことの無い天人らしき奴ら。
ギャッギャッと言いながらそいつらは海へとにじり寄ってきていた。
『顔面もそうだが、全身からして受け付けがたいな』
気持ち悪い、と言ってしまったら相手に失礼だろう。だからオブラートに包んだつもりだったのだが、どうやら海から感じた嫌悪に相手は気づいてしまったらしく、なにやら騒ぎ散らしながらこちらへと向かってきていた。
『うわっ、キモッ!』
遠目からだったからそんなにしっかりと見えていなかったが、距離が近くにつれて相手の異形さが目につく。
あれは本当に天人なのだろうか。
『刀……は車の中か!』
いつもの流れで右手は左側に携えている刀を取ろうと動いた。だが、刀はパトカーの中に置いてきてしまっている。
身を守るものがない丸腰状態。しかも怪我をしていて動けない。
『クッソ!』
迫り来る異形の生物に舌打ちを漏らし、海は雪を強く握りこんだ。
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