第182幕
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「やっべー!コースから外れたぞ!」
「止めて!誰か止めてー!」
懇願するように叫ぶ銀時を後目に土方はポケットに入れてあった携帯へと手を伸ばす。
幸いこの先は真っ直ぐな傾斜。途中で飛び跳ねる危険性もなさそうに見えた。
「(今なら海に連絡を取れんじゃねぇか!?)」
あの場に残してきてしまった海の身を案じて携帯を取り出す。
カチカチと携帯を操作して海の名前を出して電話をかけた。だが、何度かコールしても海は電話に出ず、そのまま留守番サービスに繋がってしまった。
「くそ!何やってんだアイツは!」
まさかもう迷子になってしまったのか。今頃この寒い雪山を一人でさまよっているのか。
なぜ海を置いてきてしまったのか。山崎に一声かけて、海と共に居るように言えばよかった。
湧いてくる後悔は土方の頭の中をゆっくりと暗く侵食していった。
いつの間にか増えていた銀時の知り合いに土方は血の気のない顔で声をかける。
「前○○ブレーキって知ってるか?フフ……」
「副長壊れだしたよ!キャラじゃねぇセクハラ発言しだしたよ!諦めモードだよ!」
「銀ちゃーん!大丈夫アルか?」
ひくつく笑みを浮かべながら土方は空を見上げる。
もうどうにでもなれ。止まることも出来なければ、海を探しに行くことも出来ない。そんな自分に何が出来るというのか。
「もう……いいんだ」
「何がいいんですか!土方さん!」
乾いた笑いをする土方に朔夜の声がかかる。その声に我に返り後ろを振り返った。
「無事でしたか!?」
「朔夜……!お前!」
「今ちょっと身動き取れないんで助けられないんですけどね!」
朔夜はへらりと笑う。朔夜が居るのは特大の雪玉の中。神楽と総悟の間に入っている朔夜は困ったように眉を下げていた。
「お前らなにしてんの!?つか、海はどうした!!」
「兄さん?土方さんと一緒じゃないんですか!?」
「俺は将軍追ってたから一緒じゃねぇ!アイツは今どこにいるんだよ!」
「僕も分かんないですよ!」
先程より困った顔をする朔夜は本当に海の居場所が分からないのだろう。そうなると益々心配になってくる。
きっと海の事だから土方たちを探しに行こうとするはずだ。
「さっき電話したが出やしねぇんだよ!」
「だって兄さん携帯、屯所に忘れてきてますもん」
「は?」
「コート引っ張り出すのに必死で携帯置いてきてるんですよ。ここに来る時に気づいたみたいで」
通りで電話が繋がらないわけだ。本人の手元に無ければ出られるはずもない。
ならば今、海と連絡をとる手段が一切ないということになる。それは一番やばい。
「おい……アイツ死ぬぞ」
「え!?何んですか!?」
黒い玉の中で騒ぐ朔夜。そんな中、桂の登場で土方と銀時はすんっと真顔になった。
「神楽」
「総悟、朔夜」
「「前○○ブレーキって知ってるか?」」
土方たちの言葉に三人は何かに気づいて桂へと手をかける。桂の悲痛な叫びを最後に土方達は雪の中へと突っ込んだ。
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