第175幕
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「よし、じゃあ次は私が行ってくるネ」
『大丈夫か?』
「大丈夫アル。海と新八のやり方見たから完璧ネ!」
「神楽ちゃんふぁいと!」
朔夜の声援に神楽はニカッと笑って堂々と歩いていく。
「ほ、ほんとにアイツ大丈夫かよ……」
『大丈夫だろ。多分。心配しすぎだよ、お父さん』
「アイツのアホさ加減は知ってるだろうが、お母さん」
神楽の背を銀時と共に見守る。焼香台前で立ち止まった神楽は何故か坊主の頭へと右手を振り上げた。
「えーと……まずは"意外と坊主に一撃"!」
「はなからまるまる違うだろうが!!ちょ、お母さん!!どうすんのアレ!!最初から違うんだけどォ!?」
坊主の頭へとチョップを繰り出した神楽に銀時は青ざめる。海は生暖かい目で神楽を見つめた。
『ちょっと間違っちゃったんだろ』
「ちょっとどころじゃねぇだろが!!おい!海、お前現実逃避してんじゃねぇよ!!」
神楽から斜め上へと目線を上げた海に銀時は声を大にして叫ぶ。
「イエーイ!さぁ、アリーナも一緒に!」
マイクを持ち声高らかに言ったかと思ったら、今度は瀕死に近い坊主の口元へとマイクを持っていき同じようにイエーイと言わせた。
「イエーイで合唱じゃねぇ!!ちょ、海!!」
『なぁ、土方。屯所にある書類、あとどれくらい残ってるんだ?』
「は?あ、え?」
「海ィィィィィィ!!!」
全力で無視。もうあれは手に負えない。隣に座る朔夜も戸惑いながら海の隊服を引っ張って神楽を指差すが、もう無視。知らん。銀時の教育が悪いということにする。
知らぬ存ぜぬを貫いた結果、神楽が坊さんを再起不能にし、そのフォローで行った総悟が遺族のヅラを取り、全てを元通りにしようとした近藤が全てをめちゃくちゃにして戻ってきた。
「やべぇよ……もうおやじカンカンだよ……!もう俺は知らねぇ!海、もう帰るぞ!」
『おい!帰るなら一人で帰れよッ!』
何かに怯える銀時は慌てて葬儀から抜け出そうと立ち上がる。海の腕を掴んで無理矢理連れ出そうとしたが、腰を上げた海がその場で踏ん張ってしまったせいで、銀時の動きがカクンッと止まった。
「お前は見えてねぇから平気なんだよ!」
『仕方ないだろうが!見えねぇもんは見えねぇんだよ!』
「なら大人しくついてこい!」
『葬儀中で抜け出せるかよ!抜けるならお前一人で──』
抜けろ。と言いかけたところで海は膝から崩れ落ちるようにしてその場に座り込む。
「海?」
銀時が海の腕を掴む手から力を抜くと、海は重力にそって倒れていく。その身体をすかさず抱き上げた。
「お、おい、海?」
「銀さん?どうしたんで──」
ぱたん、と倒れる新八。そして神楽、朔夜、総悟、近藤も次々と倒れていった。
倒れた奴らを見て参列者たちが何事かと銀時たちを見た。
「海?おい、海!」
眠っているかのように静かな海に段々と嫌な汗をかいていく。まさか、と思いながら銀時は定食屋の親父の方へと視線を動かした。
「お、おい……万事屋……あれ……」
土方が震える指で指し示すのは親父の周りに浮いている白いもの。
「「えっ……魂質取られたァァ!!」」
ふわふわと浮かんでいる白い玉は全部で六つ。一つはメガネをつけているし、もう一つの玉はふらふらとおやじから離れていってはガシッ!とおやじに掴まれて引き戻されていた。
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