第182幕
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「止まれー!止まれって言ってんのが分かんねぇのかこの腐れ天パ!」
足では追いつかない速度に土方は近くにあったボード(本人は気づいていないが近藤)に乗って銀時を追いかけた。何度も止まれと声をかけているのにも関わらず、銀時は優雅に雪山を滑り降りていく。
漸く銀時の隣へと辿り着き、土方は怒りを込めて強く睨む。
「あれ?なんでお前がこんな所にいやがんだ?」
「んなこと言ってる場合じゃねぇ!下見ろ!下!」
ボードだと思い込んで乗っているのは将軍。それを分からせるために銀時の足元を必死に指差す。
「あっ!いつの間に!」
「"いつの間に!"じゃねぇだろ!それ誰なのか分かってんのか!」
「つうかお前のボードも誰だそれ!?」
そこでやっと土方は自信が使っているボードが人間であることに気づいた。なんとなくそれが近藤のように見えたが、今はそんな事を気にしてはいられない。何とかして将軍を保護しなくてはならない。
「とにかく一刻も早くそれ止めろ!切腹じゃ済まねぇぞ!」
「止められるものならもう止まってるわ!ボードも初心者なのに人間の止め方なんて分かるわけねぇだろ!何!?どうすればいいの?田舎でスタンバイして温かい心で包んでやればいいの!?」
「"田舎に泊まろう!"じゃねぇんだよ!クソッ!こんな時にアイツはどこにいんだよ!」
こういう時に冷静な判断が出来るのはあの優秀な部下くらいなもの。きっと将軍を止める手立てを導き出してくれるはず。だが、そんな彼はここには居ない。何処ではぐれてしまったのか。
「え?なに?海も来てんの?」
「あ!?仕事で来てんだから当たり前だろうが!」
「アイツのこと一人にしたの?今頃迷子になってんじゃねぇの!?」
そんなバカな。と言いたいところだが、彼の方向音痴を考えれば納得も行く。一人にするとふらりとどこかへ言ってしまうようなヤツなのだ。
こんな雪山で迷子になんかなられたら。そう思ったら顔から血の気が引いた。
それは目の前にいる銀時も同じようで、今滑ってきた道を心配そうに振り返っていた。
「これ、早く止めるぞ」
「あぁ……」
でもどうやって?という問いはしなかった。いや、出来なかった。何がなんでも止めて海の元へ行かなくてはならない。将軍のお守りで来た自分たちは必要最低限の防寒しかしてない。海なんか手袋さえ忘れてしまったのだ。そんな軽装備で迷子になんかなられたら。どうなることか。
「おい、ちょっと待て……これパンツ……パンツ引っ張ると微妙に速さが落ちるぞ!?」
そう言って銀時は将軍のブリーフを引っ張る。土方は眉を寄せて訝しげに銀時を見やるが、確かに滑り落ちる速度が落ちている。
「何!?パンツで人間ボードが操縦できるって言うのか!?」
物は試しと、近藤のパンツを引っ張りあげた。
「あっ!確かにブレーキかかってる気がする!だが、妙な溝が出来てるぞ。何だこれは!」
「ブレーキの跡だろ」
「ブレーキって、人間の身体のどこからブレーキが出てくるんだよ!」
「前○○ブレーキ!パンツを引っ張ることにより前○○が刺激されて起動するブレーキだ」
グイグイと将軍のブリーフを引っ張る銀時に土方は青ざめる。まさか、と思い雪に残る跡をじっと見つめて冷や汗が垂れた。アレはアレの跡なのではないかと。
「ちょっと待て!それただのアレじゃねぇか!ブレーキが起動してるわけじゃねぇだろうが!」
「立ち上がれチンザムだよ。完全に起動戦士だろうが」
「上手くねぇんだよ!やめろ!もうそれ以上ブレーキは使うな!世継ぎが生まれなくなる!」
「四の五の言ってる暇はねぇんだよ!海探しに行くなら、今は止まんのが先決だろうが!」
グッとブリーフとパンツを引っ張りながら銀時と土方はジャンプする。そして地面へと着地した時、何やら嫌な音が耳に入って互いに顔を見合せた。
そして共に後ろを振り返る。着地した場所であろう所に血溜まり。そして今滑ってきてるところに点々と残る赤。
「「ブレーキ……壊れた……」」
自分たちのせいで将軍たちのブレーキが破損した。今どういう状態なのか確認したい気もするが、この二人のイチモツを見るなんてしたくはない。
そうこう言っているうちに銀時と土方はコースアウトしていき、森の中を突っ切って行った。
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