第182幕
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『土方!!』
「クソッ!お前らは近藤さんを追え!!」
ソリが跳ねたことにより、将軍は一般人に激突し、近藤はそのまま坂を滑り落ちていく。落ちていった近藤は山崎たちに任せ、海と土方は将軍を介抱するためにその場に残った。
『そこの奴!大丈夫か?』
近藤を追っていった山崎たちの背を見送ってから海は将軍に激突された一般人へと声をかける。
相手は痛そうな呻き声を上げつつもゆらりと立ち上がる。ぶつかったのを見た時は怪我でもしたんじゃないかと思ったが、どうやら頑丈な身体をしているのか、一度伸びをしてこちらを振り返りなんでもないようにへらりと笑いかけてきた。
「あぁ、大丈夫大丈夫。俺も初心者だから。よくあるよな、ボードだけ滑らしちまうの。まぁお互いに気をつけようぜ」
『え……銀?』
何故ここに銀時が?と驚いて固まる。銀時は海だと気づかずに雪の上を滑って行った。
将軍とボードを間違えて。
「ちょっと待て!それ将軍!!」
滑っていく銀時を必死に追いかけていく土方の背を呆然と見つめる。
『……なんかもう本当に』
将軍絡みになると銀時が関わってめんどくさくなる。深い深いため息をついた海は近くにあったスノボへと手を伸ばす。
今から走って追いかけても間に合わないだろう。ならばこれを使うしかない。
スノボーなんて初めての経験。上手く使いこなせるかは分からないが、使わざるを得ない。
『壊れたらすまん』
ボードに足を乗せてベルトを締める。そして雪の上をゆっくりと滑り出した。
『わっ、なんだこれっ』
すーっと滑っていくのに多少なりとも不安はある。転んだらどうしようと思う気持ち半分、経験したことのない楽しさに思わず口元が緩み綻ぶ。銀時達を追う為にスノボをしているのだが、それを忘れてしまうほど楽しかった。
『これ……ハマるかも』
ただ、止まる時はどうやって止めればいいのか。それだけ教えて欲しい。
ふと湧いた疑問に海は慌てて周りを見渡す。
何人かスノボを使って楽しんでいる一般客はいたが、皆その場に止まって談笑しているだけ。止まる瞬間を見れずに、海は銀時たちが落ちていった先へと進んだ。
『もうどうにでもなれ。何とかなんだろ、うん』
止める方法が分からないなら無理矢理止めればいい。足が塞がっていても手が空いているのだ。少し速度が落ちた頃にでも倒れるような形で止めればいい。
今は止まることよりも先を行っているであろう二人を追うことが先決だった。
『どこまで行ったんだよ……!』
二人が滑り落ちて行ったであろう跡は長く続いている。その途中で何故が血が見えて、海は顔を青くさせた。二つ見えたそれは誰かが怪我をした証拠。点々と白い雪の中に見える赤に焦燥がつのる。
『土方!銀時!』
どうか大きい怪我ではありませんようにと祈りながら、海は二人の後を追った。
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