第181幕
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「お、おい……!」
『ひ、土方!総悟と近藤さんに連絡しろ!』
将軍を運んでいたヘリにぶつかったのは特大の雪玉。総悟からの無線機で聞きなれた声がするなぁなんて呑気なことを思っていた矢先のことだった。
「総悟!何が起きた!?応答しろ!将軍は無事なのか!?どこに行った!?」
総悟と共に朔夜もいるはず。総悟が出られないのであれば、朔夜が応答するはずになっているのに二人から返答が来ることは無かった。
「どうなってやがる!!」
『近藤さんは?近藤さんはどこに──』
"トシ!海!応答願う!"
どこにいるんだと問いかけるよりも先に近藤の声が無線機から聞こえてきて息を呑む。
"大変なことが起きたぞ、二人とも!"
「わかってる。全部見てた!」
『近藤さん!大丈夫なのか!?』
将軍を運んでいたヘリが墜落したこの状況。まずは将軍の安否確認が重要だと、海は無線機に叫んだ。
"こっちは大丈夫だと言いたいところだが、状況がよくねぇ!今、空中からブリーフ一丁の暴漢が飛んできて、お妙さんが襲われてんだよ!"
『「は?」』
ブリーフ一丁の暴漢?お妙が襲われている?
近藤は何を言っているのか。何故こんな所にお妙がいるのか、という話よりも、今現在近藤はどこで何をしているのか。将軍が事故にあったというのに我らが局長は一体どこで油を売っているのか。
『土方、もう近藤さんはダメだ。元々なんかこの人ダメだなとは思っていたが、もうどうしようもない。俺が将軍を保護してくる』
「ま、待て!」
無線機から聞こえてくる近藤の言葉に海はスっと目を細くして、無線機の向こう側にいる近藤に少しばかり殺意が湧いた。
こんなことはいつもの事なのだが、今回ばかりはそうは言っていられない。将軍に何かあったら自分の首が飛びかねない。もしかしたら護衛に当たっていた真選組隊士にも重罰が下るかもしれないのだ。
そうなっては笑ってなどいられない。
早く将軍を安全な場所へ、と一歩踏み出した時。ズザァァァと目の前に何かが落ちてきた。
『な、なんだよ……!』
滑り落ちていくものへと目を凝らす。
『近藤さんと……将軍?』
滑り落ちて行った先にあったソリへと乗る二人。その格好はどう見ても誤解が生まれそうな体位。
『将軍!!』
「海!追うぞ!!」
近藤達を指差す土方に深く頷いて海は走り出す。雪に足が取られて転けそうになるが踏ん張って耐えた。
『なんでこんな事になってんだよ!』
「知るかッ!そんなもんこっちが聞きてぇ!」
必死に将軍を追う二人はもはや心配よりも怒りが勝っている。屯所にいた方がまだ気楽だったのではないかと後悔の念が渦巻いた。
『あーッもう!めんどくせぇ!!』
悪態つきながら走り続ける。こんな事ばかり起こるのであれば早々に転職しておけばよかった、と海は今更ながらにそう思った。
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