第180幕
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「まだ何もしてないのに結構貴重そうな弾いきなりフィニッシュしちゃいましたよ!いきなり顔面にかましちゃいましたよ!!何考えてるんですか海さん!!」
『あ、いや、相手を確実にヤるならヘッドショットかと……』
ずっと頭に照準を定めていたせいでビームは顔面へとぶち当たった。普通なら喜ばれるはずなのに、新八にはやたらと責められて気分はガタ落ち。そんなに怒らなくったっていいじゃないかと反論しようと口を開いたところで銀時が間に割って入ってきた。
「なに?海そういうのやりたいの?俺は別にしてもいいよ?海の可愛い顔汚せるなんて興奮すんじゃねぇか」
「あんたも何言ってんだよ!!!」
「あ?なんだよ、そういう意味じゃねぇのかよ」
「違うだろ!!海さんは一撃必殺かけたんですよ!!」
変な方向へと取った銀時に新八がブチギレる。言った本人は耳に小指を突っ込んで新八を無視。
「おのれ!いきなり顔面とは無作法な。そんなエロ本やビデオで得たにわか知識で我をあの世に逝かせられると思うたか!」
『俺はどっちも見てないんだけど……エロ本ってどういうやつなんだよ』
「海!そんなの気にしなくていいから!海が見るようなもんじゃねぇから!!」
「海、エロ本見たことないアルか」
『ねぇな』
「銀ちゃんの部屋の押し入れの中にいっぱいあるネ。黒髪の女のやつ」
「神楽!てめ、余計なこと言ってんじゃねぇ!」
エロ本というのがイマイチわからないが、なんとなくそういう類のものなのだと理解して海はため息をついた。未成年がいる家にそんなものを保管しているのかと呆れていたところに、"黒髪"という単語にぴたりと思考が停止した。
「ちょ、海さんそこは照れるところじゃないですよ」
『照れて、ない』
「どの顔で言ってるんですか。顔真っ赤ですよ。もう熟したりんご並に真っ赤ですよ」
『うるせぇ。ちょっと黙ってろばか』
自分と同じ黒髪の相手に欲情したのかあいつは。それとも自分と似てるからという理由なのか。海をそれに重ねているのだとしたら。とてつもなく恥ずかしい気がする。エロ本なんかに、と言いたい所もあったが、それを言ってしまってはなんだか本に嫉妬しているようで言えず、海は黙りこくった。
『はっ、やばい!なんか撃ってきてる!』
赤い光が見え、そちらへと目を向ける。巨大エリザベスがやり返しと言わんばかりにこちらへとビームを打ち返してきていた。
カイエーンにはアレをガードするような盾は備え付けられていない。相手の攻撃を海が視認した事により他の区画へとそれが伝達される。
そして銀時の掛け声で攻撃を避ける。
綺麗に腰を直角にして頭を下げるカイエーン。その手には名刺。
「よ……よけたー!奇跡の名刺交換で間一髪かわしたー!この非常時になに名刺交換なんてしてんのこのロボ!?」
「カイエーンは対巨人用の商いを目的として作られたロボじゃ。基本は商いしかできん」
「そんなんでどうやって戦うっつうんですか!?」
そうこうしてる間に今度はエリザベスの足からミサイルが飛んでくる。最初は目で追える数だったが、途中分裂していくつものミサイルとなってしまい、肉眼で追うのは難しい。
『陸奥、これは流石に……!』
「追える範囲でいい!頼めるか!?」
『クソッ!』
飛んでくるミサイルを確認していき、それを陸奥と神楽が踏みつける。エリザベスの右腕から飛ばされたミサイルを陸奥が蹴り返した事により、エリザベスの右腕は大破した。
そしてカイエーンの両足も。
『これ目がもたねぇ』
乾く目を片目ずつ瞬きしてエリザベスを睨む。次はどんな攻撃がくるのか。
「海、無理すんな」
不意に銀時からの通信がきてそちらへと目を向ける。眉間に皺を寄せてこちらを伺うように見る銀時に緩い笑みを浮かべた。
『大丈夫』
「大丈夫じゃねぇだろ。お前充血してんの気づいてんのかよ」
『後で目薬貰うから。だから気にしなくても』
「ダメだ。そんなんで目を悪くしたらどうすんだよ」
『今日だけだろこんな事すんの。だから平気だって』
やっても後少しだけ。それ以上は目が乾いて仕方ない。涙を浮かべれば多少は緩和される乾きだが、水膜のせいで視界が歪んで見づらくなってしまうのが欠点。それならばもう少しだけ我慢するしかない。
「無理すんじゃねぇぞ」
『ん、わかってる』
暫しこちらを見た後、銀時の通信はプツリと途絶えた。
エリザベスのドリルを辰馬が受け止め、銀時がその隙を狙って左腕を壊す。カイエーンの両腕も大破し、辰馬と銀時とは連絡が取れなくなった。
「海さん……これって……」
『俺たちでどうにかするしかないだろ……』
「でも、海さん目が!」
『片目見えなくてももう片方あんだろ』
右目が限界を迎えていて、何かを見るだけで偏頭痛が起こる。チカチカとしたものを見すぎたせいか目の奥がズキズキと痛んだ。
右目を手で押えながら左目で相手を見る。その左目ですらつきりと痛んだ。こんなんで相手を倒しきれるのか怪しいところ。
「海さん!」
『新八……?』
「ここは僕がなんとかします。だから海さんは休んでてください!」
それきり新八の通信は途絶え、しかもガラス張りだったはずの窓は真っ黒に染まった。
『おい、新八!』
ガタンガタンと音を立てて揺れるロボット。倒れないようにと壁に手をついて大人しくその場に座り込む。
暫くしてから部屋の扉が開かれてその先に銀時が立っていた。巨大エリザベスは無事に破壊したと笑った銀時は海に持たれるようにして倒れた。
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