第175幕
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「あの……次、焼香あなた方の番ですよ。もう遺族の方も私たちも終わってるので」
ガタガタ震えている土方に親族の一人が声をかける。声をかけられた土方は驚き、素っ頓狂な声をあげた。
『ありがとうございます。土方、俺先行くからな?』
「お、お前……!見捨てる気か!?」
『変な言い方はやめてくれ』
土方をじとりと見つめたあと、海は立ち上がり焼香をあげに行こうとした。
「に、兄さん……行っちゃうの……?」
まだ覚えきれていないのか、朔夜が不安の混じった顔で海をじっと見つめていた。そんな朔夜の頭へと手を置き優しく撫でる。
『初めてのことだから緊張すんのはわかる。間違えてもいい。出来る範囲でやってみ』
「う、うん」
戻ってきたらまた一から教えてやるから。と残し、海は焼香台へと近づく。
きっと朔夜が後ろで見ているだろうからと、海は少し大袈裟かなと思うほどの動きで遺族へと頭を下げた。そして遺影にも一礼。
『(これくらいしとけばわかるだろ)』
あとは焼香台にて抹香を指先で取り、香炉へと移した。
ふと、気づけば朔夜だけだと思っていた視線がもう一つある事に気づいた。ちらりとその先を見ると、神楽が膝立ちでこちらを観察していた。
その姿に苦笑。天人である神楽には地球の葬儀のやり方が分からないのだろう。横に座る新八が何やら耳打ちしているのも見えた。
やることを済ませた海は遺族へと一礼して元の位置へと戻った。
「兄さん!分かりやすかった!」
『そりゃ大袈裟にやったからな。抹香のやつは宗派によって違うんだが……とりあえず三回だな』
適当に、と言ってしまったらそれはそれで良くない教え方になりそうだが。
海のやり方を見た朔夜が自信満々に焼香台へと歩いていく。隣で土方がぶつぶつ呟いていたが全て無視した。
ぎこちない動きで遺族と坊主へ頭を下げる朔夜に海はひやひやしつつ、胸中で密かに応援。朔夜ならきっとやり遂げられると信じて待った。
「兄さん!これで合ってる?」
『ん、問題なく出来てた。よく出来たじゃねぇか』
「ほんと?凄く緊張したよ」
『上手く出来てた』
座布団へと座り、ほっと安堵の表情を浮かべる朔夜に海は緩い笑みを向ける。よく出来ました、と褒めてやれば嬉しそうに朔夜は笑った。
その後、新八が焼香をあげにいき、銀時と土方にやたら褒められていた。
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