第180幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『銀時……』
「なんだ?何が起こってんだ?」
ガタガタと揺れ始める船に不安げな顔で銀時を見る。銀時も挙動不審に辺りを見渡していた。
「な、なにしちゅうがか!陸奥!」
『え、なんか船が……変形?してるけどいいのか?』
「良いわけあるか!わしの快臨丸が!!」
窓の外を見やると、辰馬の船が変形し始めていた。母艦である真ん中の船に吸い寄せられていくように他の船が形を変えながら飛んでいく。
『銀……これはちょっと気持ち悪い』
グルグルと回り始めた船に吐き気を催し蹲る。辰馬も同じように真っ青な顔で口元を押さえていた。
「海!こっち来い」
『なんだよこれ』
「わかんねぇ……」
蹲る海に伸ばされる手。その手を取ると強引に引っ張られて銀時の胸へと飛び込んだ。頭を抱えるような形で抱きしめられて気恥しさを感じながらも、吐き気のせいで動くのもままならない。
「大丈夫か?」
『ん……なんとか』
「何が起こるか分かんねぇから離れんな」
『分かった』
離れないようにと抱きしめられる腕に力がこもり、海も銀時の服をギュッと掴んだ。
段々と揺れが収まってきた頃、宇宙には巨大エリザベスと、それと並ぶ巨大なロボットが出来ていた。
軽い気持ちで銀時たちについてきてしまったが、段々と雲行きが怪しくなっていくのが気になるところ。銀時と辰馬がいるから地球に帰れなくなるという恐れは無いだろうが、それでもどっかしら不安が残った。
その不安が銀時に伝わってしまったのか、窓の外をじっと見つめていた海の顔が銀時の手によって向きが変えられる。
「んな顔すんなよ」
『どんな顔だよ』
「心配でたまらないって顔。大丈夫だから心配すんな」
『別にそんな心配してねぇよ』
「してんだろ。ちゃんと地球に帰るから。怖がることはねぇよ」
背中を撫でる手の優しさに不安が少しずつ溶けていく。
あぁ、やはり自分は弱くなったのではないだろうか。銀時と共にいると己の弱さがよく分かる。今まではこんな事無かったのに。
「海?」
『俺さ、これが終わったら……』
"お前と少し距離を置きたい"
と言葉にしようとしたのだが声にならなかった。
突然足元の床が無くなってしまったことと、銀時から離れてしまうのが嫌で。
「海ッ!!」
『銀時!』
「今度はなんじゃー!!」
足場がなくなって驚き、銀時の着物を離してしまった。銀時が必死に海に手を伸ばすも、別々の穴の中へと吸い込まれてしまったせいでその手を取ることは出来なかった。
.