｢海さんも一緒になってやらないでくださいよ！｣


『銀時が楽しそうにしてたからつい』


｢銀さんに流されすぎですよ！つい、って何度同じことしてるんですか！！｣


『本当に悪かったって。そんな怒鳴るなよ』


何度も謝るも新八は怒り心頭に発していて勢いが収まることはない。どうやって彼を落ち着かせようかと思案し始めた海の横で今度は銀時がため息をついた。


｢やだやだ。海に構ってもらえないからってそんなに怒るなよ｣


｢そういう事じゃねぇわ！！あんたらここに何しに来たのか忘れたんですか！？なんでてめぇらが地球人無力化しようとしてんだ！完全に地球侵略する側に立ってんだろ！｣


『最近新八がお母さんポジにみえるんだよな。若いのに苦労してんな』


｢そうだな。同年代のヤツらより老けるの早くなるぜ？きっと｣


｢誰のせいで苦労してると思ってんだ！！｣


『まぁまぁ、落ち着けよ。少し遊んだらやめるから』


｢あんたの少しは少しじゃないんだよ！！｣


『それ銀時にも言われた』


同じことを違う人間に言われて少しばかりムッとなる。なんだってこいつらはこんなにも自分のことを熟知しているのか。人のことを観察しすぎているのではないか。


新八に気持ち悪いものを見るかのような目を向けてからそっと顔を逸らす。その態度に新八の怒りは頂点に達した。


｢なんなんですか！？なんで僕がそんな目で見られなくちゃいけないんですか！？｣


｢新八、ドMに目覚めろ。そしたら海のこの目意外とイケるぞ？｣


｢知らねぇよ！知りたくもねぇよ！！｣


"たまにこの目でバカにされるとそれ以上の力でねじ伏せたくなるんだよ"と呟いた銀時の頭を引っぱたいて完全にそっぽ向く。後はもう知らん、と耳を閉ざした。


｢なんで侵略者とUNOやってんの！？｣


｢海もやるか？UNO｣


エリザベスたちに囲まれながらUNOをする銀時。カードを海に渡して｢やるか？｣と声をかけるが、海は受け取ったカードをじっと見つめるだけで何もしない。


｢海？｣


『やり方覚えてねぇ』


｢教えてやるからやってみろよ｣


『ん……やんのは構わねぇけど』


｢構わなくないわ！！そこは断ってくださいよ！！｣


『新八もやるか？UNO』


｢やらねぇわ！！！｣


新八へとカードを渡そうとしたが、差し出した手は叩き落とされてしまった。


『反抗期か』


｢遅くねぇ？このくらいの歳なら思春期じゃねぇの？｣


『ここに来てからずっと新八にキレられてばっかなんだよな』


むしろここに来る前から新八には強く言われている気がする。激しいツッコミを繰り出してくる新八に海は段々と受け止めるのが難しくなってきた。なんだか頭ごなしに怒られているような気がしてならない。


今もUNOをしている海たちにキレ散らかしている。そんな新八から隠れるように海は銀時の背へと寄りかかった。


｢おい、新八！あんまガミガミ言うんじゃねぇよ。海がしょげただろうが｣


｢あんたらがふざけたことばっかしてるからだろうが！！はぁ……もう怒鳴りませんから。海さん、隠れないでくださいよ｣


『本当に？』


銀時の肩越しに新八を見る。面倒くさそうな顔をしながら新八は｢はい｣と一言呟いた。


『その……ふざけて悪かった』


｢え？あ、いや、僕もすみません。怒鳴ったりして｣


『新八が反抗期になったなんて知らなくてな。ごめんな、もっとお前のこと気遣ってやればよかった』


｢そうじゃねぇわ！！！！！！｣


ごめんと繰り返す海に早速怒鳴る新八。その声にびくりと肩を揺らして驚き、出していた顔を引っ込めた。


｢新八ィ！！お前何度言えばわかんの！？海を驚かすなって言ってんだろうが！｣


｢やめてくださいよ！！反抗期拗らせた息子に怯える母親とそれを庇う父親みたいじゃないですか！！｣


｢メガネの息子をもった覚えはありませんッ！｣


『新八が反抗期……新八が……』


しくしくと泣き真似をする海を優しく抱きしめる銀時。弟子がこんな風に育ってしまったのは師匠である自分の責任かと嘆く海に銀時は何も言わず慰めた。


｢もういい加減にしろ！！！？｣



.