第178幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「彼……何者なの?」
少し遠いところから銀時たちの様子を伺っていたフミ子と新八。カセットで何やら揉めているのを銀時達に新八は呆れてものが言えず、ただ三人……プラス一人のことを生暖かい目で見守っていた。
そんな時、フミ子が銀時と海が一緒に入っているエリザベスを見てポツリと呟いた。ちらりとその横顔を盗み見るようにしてみれば、どこか恐れを抱いているような眼差しをしていた。
「あの隊長は手が付けられないほどの悪党なのよ。地球侵略の計画が練られる前、星一つ一人で滅ぼしたようなヤツよ」
「そんなヤツもカセット一つグチグチ文句言うんかい!」
「彼が好んで食べるカセットは一つだけ。かまいたちの○というサウンドノベルホラー。彼とぶつかるのが嫌だからみんなそのカセット避けるのに」
あのエリザベスと喧嘩するような事があれば生きては帰れない。そう言ったフミ子はカタカタと身体を震わせていた。
「あー……なんていうか、海さん色々と別格と言うか。あの人は普通じゃないんですよ」
「普通じゃない?」
「はい。確かに一見、普通そうに見えるんですけどね。てか、周りが濃すぎるだけなんですけど。でも、あの人も負けず劣らず普通の枠から飛び出てるんです。色々と」
最初の頃は確かに普通の人だと思っていた。一番近くにいた銀時が余りにもマダオで、破天荒で、熱くて。そんな性格の濃い人間が近くにいすぎたせいで海の事に気づけなかった。
海との関わりが深くなるに連れてそれは段々と浮き彫りになった。彼の弟子として身を置くようになってからは尚更。
「危なっかしい人なんですよ、あの人。誰かが見てあげないとすぐに無理をするんです。銀さんはよく無茶ばかりする人なんですけどね。海さんは誰かが"やめろ"って声をかけないとずっとやり続けるんです。例え自分の身体がボロボロになっても」
それはお妙が九兵衛に連れていかれた時に気づいた。お妙と新八を守ろうとした結果、彼は酷い怪我を負った。それでもなお立ち続け、九兵衛に折れた刃を向けている様に狂気を感じて身がすくんだ。
この人はいつか壊れてしまうんじゃないかと。
その弱さに触れたのは初めて海と剣を交えた時。頭に血が上ってしまうと周りが見えなくなる。戦うことに楽しさを見出してしまうと話してくれた彼はとても悲しげに笑っていた。
自分でも分かっているのに止められないのだと嘆いた海に新八は自分がそれを受け止めると言った。海を止めてみせる。海より強くなって守ると誓った。そう言った新八に海は驚いて目を丸くしたあと、嬉しそうに微笑んでいた。
「(でもその前に銀さんを越えないと。海さんを守るためには海さんより強くなる。それは銀さんを越えることであって……)」
いつの間にか沢山のエリザベスに囲まれている三バカプラス一人。その中にいる銀時をじっと見つめて新八は項垂れた。
「なにしてるアルカ」
「僕に銀さんを越えることなんて出来るのかなって」
「そんなの無理ネ」
「バッサリ言ったなお前!!」
「今の新八じゃ無理アル。銀ちゃんの足元にも及ばないネ。銀ちゃん越したいって言うならその悩んでばっかの頭どうにかしろヨ」
悩んでばかりでは何も始まらないと神楽に言われて新八はハッと気づいた。今まで銀時を越せるのだろうかと悩み続けていた新八。悩むだけで行動に移してこなかった己の行動を恥じた。
「僕、海さんとの修行頑張るよ」
「銀ちゃん倒す前にワタシがパッツァン倒してやるネ」
にひっ、と笑う神楽に新八も負けじと笑顔を零した。
「で、今どういう状況なの?神楽ちゃん」
「わかんないアル。なんかエリーが助けてくれたみたいネ」
沢山のエリザベス達に銃口を向けられていた銀時たちだったが、エリザベスの介入により助けられた。
そして銀時たち一行が連れていかれた場所は──
.