第178幕
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「あらら、かぶっちゃったみたいだけど。どうすんだ?」
『別に違うの選べばいいだけだろ。仕方ねぇからペンションは譲ってやるよ』
「ペンション?」
かまいたち○夜に出てくるペンション。そこで主人公達を襲う不可解な事件の数々。それを一つ一つ解いていくというゲーム。分岐がいくつもあって、本編大元のストーリーにいくやつもあれば、全く関係のない話が始まったりする。
そんなゲームに何日費やしたことか。書類片手にコントローラーをカチカチして何度寝ずの朝を迎えたか。
あのゲームは奥が深い。それ故にハマりこんでしまう。ちなみに海は監獄塔のわらべ○というタイトルの物で朔夜を泣かせた事があったりなかったり。
「別のって何にすんのよ」
そういえばそんなこともあったっけか、と思い出していた時に声をかけられて慌てて海は現実へと思考を戻した。
後ろにはまだかまいたちの○を求めるエリザベス(仮)が立ったまま。彼にカセットを譲るのであれば別のものを選ばなければならない。ならば聖剣伝○にしようかと口を開いた時、銀時が隣で小さく呻いた。
「い"ッ」
『銀?どうした?』
「なんか頭掴まれてるッ!」
『頭?』
少し上へと目線を向けると、確かに銀時の頭は何者かに掴まれている。ミシッと骨の軋む嫌な音が耳に入ると、銀時が痛そうにもがきながらその手を振り払おうと必死に手を振った。
『どこから掴まれてるかわかるか?』
「後ろ!後ろのヤツ!!」
『かまいたちエリザベスか!』
「なにその呼び方!」
もうなんでもいいから早く離すように言ってくれと懇願してくる銀時に少し待てと声をかけてプラカードを手に取る。もたつきながらも頭から手を離すようにと書いて後ろのヤツへと向けた。
"痛いだろうが、手を離せ"
"お前、かまいたちの○が欲しいのか"
"アンタが欲しがっているのであれば譲る。俺は聖剣伝○にする"
"ダメだ"
『は?』
「なんの会話してんの!?なんか段々力込められてるんだけど!?」
カセットを譲ると言っているのにダメだと怒る相手に海は戸惑う。かまいたちエリザベスの逆鱗に触れてしまったのかなんなのか分からないが、銀時の頭を掴んでいる手に力が入れられていく。
『銀時、ちょっと待ってろ。かまいたちエリザベス蹴飛ばしてくる』
「やめろ!めんどくさいことはすんな!」
『そうじゃなきゃあいつ手を離さないだろ!』
「いいから!なるべく穏便に事を済ませろ!」
こっちは何とか我慢するからことをはやし立てずに収めろと言われ、今度は海が唸った。
『穏便にって言われても……』
どうすりゃいいんだ。カセットを譲っても怒られ、カセットをとっても怒られるだろう。かまいたちエリザベスは何が言いたいのか。
なんだかリアルかまいたちの○をやっているような感覚に海はひっそりと楽しんだ。
"何が不満なんだ?"
"不満などない"
"じゃあなぜ手を離さない"
"俺は高揚している"
『高揚?なんで?』
気分が高まっているとはどういう意味だ。自分が求むカセットを別の人間に取られそうになっているのに。何に高揚したというのか。
"お前は同志だ。今回はそのかまいたちの○を譲ってやろう"
「譲る前に手を離しやがれ!!」
"譲ってくれるのか"
"あぁ、お前ならきっとそれを余すことなく食い尽くしてくれると信じている"
"まかせろ"
「何を任せられたのォ!?ちょ、海くん!?俺を無視して進めないでくれる!?そろそろ頭割れそうなんだけど!?」
横で銀時が文句言っているのを聞きながら、海はかまいたちの○を譲ってくれたかまいたちエリザベスへと銀ザベスの右手を差し出す。両者しっかりと固く手を繋いでから離す。その姿は周りのエリザベス達も羨望の眼差しで見ていた。
"あいつ隊長と手を組んだぞ!"
"中々骨のあるやつじゃねぇか!"
なんてはやし立てられている海達。
「そんなのどうでもいいから早くこの手離してくんない!?」
もう限界!と叫んだ事によって我に返った海がかまいたちエリザベスに頭から手をどかすように声をかける。かまいたちエリザベスはこくりと頷いてからやっと手を離した。
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