第178幕
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銀時に連れられて行ったのは大鍋が並ぶテーブル。桂と辰馬と共に鍋の蓋を開けて中を覗くといくつものゲームのカセットが見えた。
「海は何がいいんだ?」
『これ食う前提なのか?』
「違うに決まってんだろ」
『何に使うんだよ……』
「いいからいいから。ほら色々あるぞ?」
鍋の中を見るように促され、海は渋々中を覗き込む。大鍋の真ん中ら辺まであるカセット。その気でなかった海もこれには目を輝かせ、鍋の中へと手を入れようとした。
"おい、なにしてる"
『あっ』
「ばっか!お前手ェ突っ込むなよ!」
『悪い……』
ロマン溢れる鍋の中身につい手が伸びてしまった。
配膳している蓮蓬に注意され、銀時にも腕を引かれて鍋から離される。鍋の底のカセットも見たかったと思いつつ、こちらを不審そうに見てくるエリザベス(仮)に向けてプラカードを見せた。
"すまん、ついはしゃいだ"
"気をつけろ。他のやつも食べるものだ。無闇に触らないようにな"
"気をつける。悪かった"
『これ一々書くのめんどくせぇな』
「仕方ねぇだろ。こうしねぇと意思の疎通出来ねぇんだから」
辰馬と桂もパタパタと音を立てながらプラカードを見せていく。ササッと書いてはパッと見せる二人を少しだけ尊敬した。自分はあんな早く書けない。ペンを持って書こうとすると躊躇ってしまう。なんて書けば一発で伝わるだろうか、と。
「で?お前何にすんの?辰馬はF○らしいけど」
『銀時は?』
「ドラク○らへん?」
『んー……かまいたちの○もあったし、聖剣伝○もいいな。ドンキーコン○も捨て難い』
「ちゃんと一つに絞れよ?」
もはやなんの意味があるのか分からないが、もらえるのであればもらっておこう精神で海は三つの中から一つを選んだ。
『なんか初期のポケモ○選んでる気分だわ。よくあの主人公選べたな。俺なら全部くれってなっちまう』
「その気持ちは分からなくもないんだけどね?鍋ごと寄越せってなるけどね?」
『でもダメなんだろ?じゃあ、かまいたち○夜にするわ』
プラカードに"かまい○ちの夜が欲しい"と書いて見せる。エリザベス(仮)はそれを見た途端、皆ひそひそと身を寄せってプラカードで話し始めた。
"どうするんだ?アイツかまい○ちの夜を寄越せって言ってるぞ"
"そ、そんなものあの人しか欲しがらないだろう!何でそんなものを!"
「そんな渋るようなモンなのソレ」
『さぁ。なんか特定のやつに渡す予定だったみたいだな』
「なんかめんどくさくなりそうな予感。こういう時って大抵良くないことが起こるんだよ……」
眉間に皺を寄せて顔を顰める銀時の予感通り、不運はすぐにやってきた。
のそっと海と銀時の真後ろに現れたエリザベス(仮)。見た目は他の奴らと変わらないのに、やたらと彼の周りの雰囲気が重かった。
『なんだコイツ』
「さぁ?ソイツもカセット食いてェんじゃねーの?」
鍋と銀ザベスを見つめる眼。何を考えているのか分からない目に寒気を感じた。
"○まいたちの夜をくれ"
たった一言、後ろに立っているエリザベス(仮)がプラカードに書いて見せる。その一言に配膳係はピシッと身体が固まる。
海とそいつを交互に見ている間、配膳係は"汗"と呟いた。
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