第178幕
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『銀時』
椅子に座っている銀時の横で中腰になりながら海はテーブルに置いてある皿をじとりと見つめた。
出陣前の晩餐だと出されたのは白米とゲームのカセット。知らないタイトルのものに海は首を傾げていた。ゲーム会社を見ればある程度わかるのだが、そのゲーム会社ですら聞いたことも見たことも無い。どんな内容のゲームなのか。
『これ見た目的にRPGか?』
「いや、ツッコむとこそこじゃねぇよ。てか、お前何?ゲーマーなの?ドライバーの件の時も思ったけど、やたらとそういうのに詳しくない?」
『少しかじったくらいだからそんなに詳しくない。そういえば近々、モンハ○新しいの出るだろ。ラ○ズだっけ?』
「知らねぇよ……やっぱ海、ゲーマーじゃねぇか」
『違う。俺はライ○やらねぇし。アイスボー○の皇○武器のカスタ○強化終わってねぇからそっちやりたい。ソロでアル○トリオ○倒してみてぇんだよ』
「なんなの!?さっきから伏字ばっかで全然理解できないんだけど!?」
ぺらぺら喋る海はどこか楽しげで、そんな顔が見れるのであればいいかと思った銀時だったが、あまりにも理解できない単語ばかりが並ぶ海の話についていけなくなった。
その事に気づいていない海は「アイス○ーン知らないのか?」と斜め上の質問。
これ以上この話題を膨らませるわけにはいかないと悟った銀時は海の手を取って椅子から立ち上がる。
「俺はそんな新しいゲームなんかに興味無いの!やるとしたら昔から馴染みのあるゲーム。F○だろうが!」
『あぁ、最近リメイク版がで出るやつ』
「そっちじゃなくて!!」
映像が綺麗になって遊びやすくなったよな、と笑う海の額とデコピンをする。そうやって新しいものばかり取り入れようとする考えに銀時は顰めっ面を浮かべた。
彼はレトロゲーを知らないのか。あの頃はまだキャラクターの顔なんてまともに見えなかった。会話シーンで横にキャラの顔が出てきた時に見えるくらい。戦闘シーンとかでは潰れてしまって見るに耐えなかった。でも、それにはそれの良さがある。見た目から入るのではなく、キャラの性格を知って好きになる。イケメンだの可愛いだのとかという見た目判断では無いのだ。
「ちゃんとそれはリアルでも反映されてんだからな」
『うん?』
見た目ではない。中身で好きになった。
それは海にも言えること。確かに彼の見た目は凄く良い。男としては可愛げのある顔を持つ彼は色んなやつから好まれる。一目惚れだって何度もされているだろう。海が気づいていないだけで、銀時は何度も海につこうとした虫を払った。
一目惚れが悪いというわけではないが、何となくその言葉があまり好きではない。見た目だけしか見ていないような気がして。
「俺は海の中身が好きだよ」
『な、んだよ急に』
「なんでもない。言いたくなっただけ。ほら、代わりのモンもらいに行くぞ」
突然の言葉に海は虚を突かれて固まり、頬を朱に染めた。海の一挙一動が見ていて楽しい。もう少し見ていたいと思ったが、今やるべきことはそんなことでは無いと理性が働いた。
海と戯れるのはこれが終わった後にたっぷりすればいいのだから。
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