第178幕
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「あ?なんだこのパーティー会場は」
『出陣前のアレじゃねぇの?』
「必勝祈願の
食事を手にして話している蓮蓬たちの中を縫うように歩いていく銀時たち。話していると言っても、皆プラカードによる会話なので全部の会話がダダ漏れだった。
「ちょ、どこ行こうとしてんの」
『んぐッ!いや、向こうになんかあるから……!』
「興味湧いたものにすぐ行こうとしないの!だからいつも迷子になるんでしょうが!お前、着ぐるみの中に一緒にいるから良いものの、別々だったら迷子になってるからな!?もう探してやんねぇぞ!?」
『少しくらいいいだろうが!』
「良くない!」
美味しそうなものを見つけてしまった海はふらりとそっちの方へと歩き出し、辰馬達を追っていた銀時は海とは逆の方へと足を踏み出した。そのせいで互いに着ぐるみが顔面へとめり込んだ。
その事にイラッとした銀時が、着ぐるみの手の部分から腕を抜き取って海の頬を抓る。海も大人しく抓られてるわけもなく、銀時の頬を抓り返そうと手を伸ばしたところで桂に頭を叩かれた。
「貴様ら!なに喧嘩しているんだ!ここを何処だと思っている!」
『「ごめんなさい」』
腰に手を当てて怒る桂に二人は素直に謝る。その三人の姿を見て辰馬はゲロを吐きながら笑っていた。
「ったく、海のせいでヅラに怒られただろうが」
「ヅラではない、桂だ」
『俺はなんもしてねぇよ。銀時が桂を怒らせたんだろ』
「海よ。俺はお前のことも怒ったんだぞ?」
「はァ!?お前がふらっとどっかに行こうと思わなければこんな事にならなかったんだろうが!」
『だからなんで俺のせいになんだよ!少し見に行くくらいいいじゃねぇか!』
「お前の少しは少しじゃねぇの!女子が服見てくるからちょっと待っててねのちょっと並に長ェの!ちょっとどころじゃねぇんだよ!」
『分かりづらい表現してくんじゃねぇよ!しかもそれは人によるだろうが!つか、女子の服選びが長いのは仕方ないだろうが!少しくらい待ってやれよ!お前そんなのも待てないくらい心狭いのかよ!!』
「海の買い物ならいくらでも待てるけど、好きでもねぇやつの買い物なんか待てません!!」
ギャーギャーギャーギャー。
広間の真ん中で騒ぎ散らす海と銀時。
その数秒後、二人の頭へと雷が落ちた。
「いい加減にしないか!!!このバカども!!」
『「すみません」』
「まったく。仲がいいのか悪いのかわからんやつらだな。二人一緒に居て喧嘩ばかりするのであれば、こっちに来なさい!」
着ぐるみの中へと入ってくる桂の手が海の腕を掴む。グイッと引っ張られた海が桂の着ぐるみの中へと入る寸前、反対側の腕を銀時に掴まれた。
「ヅラ。その手離せ」
「喧嘩ばかりしているなら離れていた方がいいだろう」
「もうしねぇから。いいから離せ」
「そんな顔するなら最初からするでない」
これだから貴様らは。と呆れた顔で言った桂。海を掴んでいた手を離し着ぐるみの裾を戻した。
「大人しくついてこい。いいな?」
『ん、』
こくりと小さく頷く海に銀時は緩い笑みを浮かべる。
桂の着ぐるみへと引っ張られていく間際、海は銀時の着物を掴んでいた。ここから出たくないとでも言うように。
「(ホント、可愛すぎんだろ)」
今度は大人なしくついてくる海の手を握りながら辰馬たちの後を追った。
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