第201幕
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「たまさん!お願いします!」
「どうかそれだけは勘弁してやってくれないアルか」
新八と神楽はたまに土下座をして必死に金時を庇った。そんな彼らの姿に金時は目を丸くして。
「もともと彼を作ってくれって言ったのは僕らなんです」
「こいつは銀ちゃんの代わりにリーダーを努めようとしてくれただけアル。それがいきすぎてこうなってしまっただけネ!」
「僕らも彼と一緒にみんなのところ土下座して回りますから、どうか!」
「と、おっしゃってますが……」
頼み込む新八と神楽に銀時は何も言わず背を向けるだけ。海も口を挟まずに事の行く末を見守っていると、不意に金時が笑い始めた。
「フフッ……つくづく甘い連中だ。銀時、これがお前の取り戻した現実だ。見ろ、敵一人とどめを刺せん情けねぇ仲間を。見ろ、一人では何も出来なかった脆弱な己を。俺が手を下さずとも不完全体はいずれ滅ぶことになろうよ」
「おめえの言うとおりだ。俺は一人じゃ何も出来ねぇ。ここにいんのはみんな欠点抱えた欠陥品ばかりだ。でもだからこそ、俺たちは欠けたものを補おうと支え合う。紛れもねぇ完全無敵の主人公だよ。気に食わねぇならまた来い。いつでも相手してやるよ。じゃあな不完全体プラモデル」
「待て、俺が不完全体だと!?訂正しろ!」
去っていく銀時の後を追いかけていく新八たちの中、海だけは一人その場に残った。
「お前もあの男と共に居続ければ身を滅ぼすことになる。それでもアイツを選ぶのか!」
『お前さ、何か勘違いしてないか?』
頭だけ地上に出ている金時の前に立ち、未だに泣き言漏らしている金時を冷たい目で見下ろす。
『銀時と居たら身を滅ぼすだ?そんなもん上等じゃねぇか。アイツと朽ち果てるなら本望だ。誰かに言われたところで俺は変えるつもりはない。それと……』
そこで言葉を区切り、海は右足を横に振った。ボールのように蹴り飛ばされた金時の頭は無惨にも地を転がる。
『お前はアイツらに許されたみてぇだけど、俺はてめぇを許してはいねぇからな』
「なっ……」
『出来ることならてめぇを再起不能にして屑同然にしたいところだが……子供らが土下座してまでお前を守ったんだ。俺が手をかけたらあの子らの謝罪の意味が無くなる』
子供らがいる手前海は手を出すことが出来ない。新八や神楽が金時を見捨ててくれたなら壊すことも出来たのだが、あの子たちは金時を庇って助けてしまった。そうなってしまっては何も出来ない。
『源外さん、悪い。吹っ飛ばした』
「謝ることはねぇよ。こいつが暴走しちまったのが悪い。むしろよくそんなもんで済んだな」
『しょうがないだろ。俺が壊したとなるとあの子らに何言われるか』
「ハハッ。金時、おめえさんあのガキんちょらに二回も助けられてんのか」
『はぁ……俺ももう行くから』
「おう。あんま無理すんじゃねぇぞ。たまにはツラ見せに来い」
『あんたは俺の親父か。それにそいつがいるなら行きたくない』
むっと拗ねた顔で金時の頭を指差すと源外はゲラゲラと笑った。
「早く行かねぇと心配されるぞ」
源外の言葉に更にむくれた顔を浮かべと腹を抱えて笑われる。これ以上ここにいては笑いの種にされるだけだ。
『じゃあな』
ゲラゲラ笑う源外とまだ文句を言っている金時に背を向けて走り出した。向かう場所は銀時のもと。
「遅い」
『悪い』
「ったく、いつになったら乱暴者の海くんは直るんでしょうねぇ」
『無理だろ』
「即答やめてッ!!」
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