第200幕
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町民たちの鎮圧は済ませた海は怪我をした人達の手当てを手伝っていた。
銀時のもとには神楽たちを向かわせたから問題は無いだろう。泣きそうな顔をした彼女らを放っておくのは心苦しかったが。
「ぬし、まだ銀時のことを思い出せぬのか」
『無理だな』
「何一つ思い出せないのか?」
『ああ』
「貴方それでも銀さんの恋人なわけ!?まさか別に男がいるんじゃ──」
「ぬしは黙っておれ!」
月詠に口を塞がれた猿飛は苦しそうに呻きながらどこかへと引き摺られていき、海のそばに残ったのは九兵衛一人。
なんとか海の記憶が戻らないかと考え込んでいる九兵衛に苦笑を漏らした。
『そんなに考えても答えは出ねぇよ』
「桜樹は知っているのか?記憶が戻る方法を」
『一応は』
「どうやったら戻るんだ?」
『坂田を……』
亡き者にするしかない。そんなこと九兵衛に言っていいのか。
黙り込んだ海に九兵衛は不思議そうに首を傾げる。本当のことを言っても九兵衛には何も出来ないだろう。むしろ余計に悩ませる事になってしまう。そうなるくらいなら嘘をついてそれとなく話を逸らした方が良さそうだ。
『坂田を去勢しないと俺の記憶は戻らない』
「きょ……せい?」
『……うん』
視界に入った定春の姿を見ながら海は呟いた。九兵衛は海の言葉を聞いて固まり、去勢の言葉を繰り返す。
「そうか……去勢しなければならない……のか」
『だから俺の記憶が戻ることは無い』
「なんでだ?銀時を去勢すれば記憶が戻るのだろう?」
『え?』
「あいつならそれくらい受け入れるだろう。桜樹の記憶がかかっているんだ。銀時なら進んでやると思うぞ」
まさかの話の展開に今度は海が驚いて固まってしまった。今すぐ銀時を捕まえて去勢の準備をしようと意気込む九兵衛に海は待ったをかけたのだが、九兵衛は「善は急げだ!」と言って走っていってしまった。
『やっべ、余計なことしたかも』
銀時の大事な息子が無意味に無くなるかもしれない。
これは謝っても謝りきれないだろう。どうか切られないように全力で逃げて欲しい。
「海!!」
「海さん!!」
心の中で謝っていた海に新八と神楽の声がかかる。彼らが無事戻って来たことに安堵しつつ、声の方へと顔を向けた。
「海さん!!銀さんが!!!」
泣きそうな顔で新八が海に縋り付くように服を強く掴む。神楽の方はもう既に泣いていて顔がぐちゃぐちゃだった。
「銀ちゃん……!死んじゃったアル!」
『は……?』
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