第177幕
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「アハハハ!アハハハ!久しぶりじゃのう、何章ぶりじゃ?」
銀時と桂たちを吹っ飛ばして地に降りてきたのは辰馬と陸奥。上空には辰馬の船らしきものが浮かんでいた。
『なんでここに……つか、まためんどくせぇのが増えたな』
「ほんとですよ……」
「海音!!元気にしとったか!!」
『辰馬こそな。相変わらずうるさくしてるみたいで』
でかい声でゲラゲラ笑う声が耳を襲う。キーンッと耳鳴りがして思わず耳を塞いだ。
「ほんと久しぶりじゃのう。海音を助けに行った以来じゃな」
『その節は……本当に助かった。その……迷惑かけてごめん』
「謝ることじゃなか。ワシが海音を助けたかっただけじゃ。気にすることなんかひとっつもないぜよ」
だからそんな暗い顔しないで、笑っていなさいと言った辰馬に海は目を見開き、どうしようかと逡巡したのち、海は言われた通り微笑んだ。
『ありがとな』
「どういたしまして。それにしても相変わらずほっそい身体しちゅーなぁ。ちゃんと飯は食ってるがか?」
『は……あ!?』
辰馬の手が脇腹を触れたかと思ったら、ふわりと浮かぶ身体。
小さい子供が父親に高い高いをしてもらってるかの如く海の身体を軽々と持ち上げて笑う。
『ちょ、降ろせバカ!!』
「アハハハ!海音は軽くて持ちやすいのう」
『つか、お前いつまで人の名前間違えてんだよ!!』
人の話を聞かない辰馬にプチッとキレて右足を振り上げて辰馬の頭を蹴り飛ばした。
「相変わらずおまんは良い蹴りしとるの」
『陸奥か……お前も相変わらず……恨みこもってんな』
蹴られた辰馬は鼻血を垂らしながら地に倒れた。倒れた辰馬の股間をこれでもかと踏みつける陸奥。確か初めて会った時も陸奥は辰馬の股間を攻撃しろとよく分からない怪物みたいのに頼んでいた気がする。
『なに?お前そんなにゆるゆるなの?』
「アハハハ!頭は緩くてもこっちはガチガチぜよ!なんなら試してみるか?」
『結構です』
「それにしても似てきたのう」
ムクリと起き上がった辰馬が一言呟く。その顔はどこか嬉しそうに見えた。
『似てきた?』
「よう似てきてるぜよ。金時に」
口調も態度も、と付け加えて笑う辰馬に海は一瞬こいつは一体何を?と疑問に思ったが、意味が分かった途端、顔が赤くなるほどの恥ずかしさを感じて再度辰馬を蹴りあげた。
『うるせぇ黙れ!!』
「そげん恥ずかしゅう思わんでもええじゃろう!好きなヤツに似るのは仕方なか!」
『だから黙れっての!!』
何をそんなにムキになって怒るのだ、と問いかけてくる辰馬にひたすら海は足を振り上げ続ける。とりあえず辰馬を黙らせないと気が済まない。へらへら笑う辰馬を抹殺しようと目論んだ。
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
「そろそろ止めんと死ぬるぞあやつ」
「はぁ……もうちょっと見ていたかったけどなぁ」
「もう時間がなか。雲が動きだしちゅう」
晴天はいつの間にか分厚い灰色の雲によって隠れていた。空を見上げて舌打ちをする陸奥に銀時は眉を顰めたが、今は海を止めることが先決だと陸奥から意識を逸らした。
「はい、海くーん。そろそろやめましょうねぇ」
『離せばか!コイツは一度やっとかねぇと気が済まない!』
「やらなくていいから。ヤるなら俺とシようね。時間ある時にでもたっぷり付き合ってあげるから。だから今はもうやめておこうね」
やめろと声をかけているのにも関わらず、海は辰馬を蹴ろうと足を振る。そんなにも恥ずかしかったのか。
段々、自分に似てきたなと思っていたが、完全に無意識だったのか。あんなにも銀時の言動そっくりなのに。むしろ辰馬に言われるまで誰にも指摘されなかったのか。
「されなかったからこんななんだよな?」
なんだか見ていて可愛いと思ってしまう。顔を赤くして必死に違うと否定する海が愛らしくて。
今すぐにでも食べ……おっと。これ以上は良くない。
むくむくっと元気になってしまった息子を抑えつつ、荒ぶり続ける海を止めるべく利き手を固く握りしめて海の頭へと振り下ろした。
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