第200幕
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『猿飛!九兵衛!』
囲まれていた金時は周りのヤツらを吹き飛ばす。目の前に倒れた二人の肩を揺さぶって起こそうとしたが、苦しそうに呻くだけで起き上がる気配はない。
「大したもんだな兄弟。こいつが小説193幕分の絆ってやつかい。だが、そいつもムダな話だよ。何度取り戻そうとも俺の腕の一振でゼロに戻る。なぜだか教えてやろうか。それはこの小説の主人公が……」
「「「金さんだから!」」」
「いや、主人公は海だろ……」
『お前この状況でそれを言っている場合か?』
「俺はこの小説ではサブでしかねぇの!主人公は海であって、俺は海の──!」
銀時は最後まで言わずにモゴモゴと口ごもる。何か言いたげな顔をしているが口には出さない。
『俺のなんなんだ』
「そ、れは……」
『お前そうやってたまに隠す時あるよな。言いたいことがあるならハッキリと言え』
「言ってもどうせ信じないだろ」
『信じるか信じないかは聞いてみないことには出来ないだろうが』
「~~~っ!お前は俺の……こ、こ、」
『タイムリミット』
銀時の言葉を最後まで聞くことは出来ず、海は刀を手にして町民たちの中へと突っ込む。正気を失い、まるでゾンビのような動きをする彼らを峰打ちで一人また一人と気絶させていく。
『これが洗脳か』
金時の駒として動く彼らにもう意志はない。金時に命じられるがまま武器を振り回す操り人形。
「海、お前ももう諦めたらどうだ?銀時の味方なんて誰もいない。そんなやつのそばに居ても意味なんてないだろう」
『坂田のそばに居る意味が無いなら、お前のそばにいる意味もない。それなら屯所に帰って仕事してる』
「ならなんでいつまでもその男についてるんだ?そいつを守ったところでお前にメリットなんてない」
『人間、メリットデメリットだけで生きてねぇんだわ。機械のように決められた行動だけをしている訳じゃない。俺たち人間様には意思がある』
金時を守るようにして立っていた男たちを全員倒し、海は金時の前に立つ。
『いい加減茶番は終わりにしたらどうだ?偽主人公』
道は作った。背中は彼らが守ってくれる。
「ありがとな、海」
『三分』
「それは無理」
『なら……』
「戻るよ。ちゃんと」
海の横を通り過ぎた銀時は一瞬こちらを見て微笑み、金時へと木刀を振り上げる。
ここまでお膳立てしなければあの男はやる気を出さないのか。
『全く。世話のやける男だな』
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