第199幕
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「あいつらには銀時を殺れと言ってある。お前が記憶を取り戻すのは時間の問題だ」
『そう簡単に殺られるようなやつではないだろ』
「そう言っていられるのも今のうちだ。銀時が殺られて全て思い出した時、お前はどんな顔するんだろうな」
怪しく笑う金時を冷めた目で見る。これ以上この男と話していても不快感しか生まれない。銀時には何もするなと言われたが、はいそうですかと素直に受け入れるつもりはない。
『お前を壊せば全てが丸く収まるんだろう』
「街のヤツらの為に俺が殺すと?やめた方がいいぜ」
『元凶が居なくなれば全て終わる』
鞘から刀を抜き、金時を斬るべく刃を振り翳す。振り下ろした切っ先は金時の髪を僅かに切っただけだった。
「お前の戦い方は熟知してる。俺を殺すことは出来ねぇよ」
『だからなんだ?』
「無駄なことはすんなよ。俺らはこんな事をするような仲じゃないだろ?」
再度、金時を斬りつけようとした瞬間、海へと伸ばされる手。その手に嫌なものを感じて、すぐさま金時と距離を置いた。
『(あれは……)』
あの感じはなんとなく覚えている。過去に同じようなことをされた覚えがあった。その時は避けなかったようだが。
「今更思い出しても遅ぇよ。お前一人が記憶を取り戻したところであいつらは止められない。お前の負けは確実だ」
『俺はお前と勝負をしたことなどない』
「記憶が無いからわからないんだろう。お前は俺と取引をした。お前が銀時の記憶を取り戻すことが出来たら町の奴らの記憶を全て戻す。だが、お前が記憶を取り戻せなかった時、お前は俺の物になる」
『ふざけた取引してんじゃねぇ!』
「言い出したのはお前の方だ。それほど銀時のことが大切だったんだろ?自分の身を差し出してでも銀時の記憶を町のヤツらに戻して欲しい。そう言ったのはお前だ」
そんなふざけた取引があってたまるか。
銀時のために自分を賭けの商品にしただと?ふざけるな。なんでそこまでしなくちゃならないんだ。
記憶を失う前の自分はとんだ大馬鹿者だ。もっと違う方法を探せばよかったのに。
「あの時、お前の中から銀時の記憶を消した日。最初からお前に勝ち目なんてなかったんだよ。銀時の記憶を取り戻すトリガーは銀時が死んだとき。記憶を戻すと同時にお前は銀時を失うんだ」
これほど絶望的なものはないだろう?そう言って笑う金時に沸々と怒りが込み上げてくる。何に対しての怒りなのかはわからない。ただ、"銀時が死ぬ"という言葉を聞く度に腸が煮えくり返るほどの怒りが溢れてきた。
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