第199幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いいか?お前は顔出すなよ?」
『これだけの人間相手にして一人で切り抜けられると思ってるのか』
「やるしかねぇだろ。全部取り戻すって決めたんだからよ」
民家の屋根の上から通りの方を覗けば、皆が血なまこになって銀時を探していた。
金時とたまを襲った不届き者というレッテルを貼られた銀時は苦笑を浮かべて町民たちを眺めている。
「こりゃ苦労しそうだ」
『金時だけを狙うのは無理だろ。露払いくらいならやっておくが?』
「海は手を出すな。お前はダメ」
『なんで』
「ダメなものはダメ」
理由を問うても銀時は「ダメ」の一点張り。誰かが囮になって人々らを引き付けなければ銀時は一瞬でやられる。
それでも頑なに首を縦には振らなかった。
『頑固すぎないか?』
「そうじゃねぇよ。お前が街のヤツらに手を出すのを見たくねぇだけ」
『勘違いしている奴らが悪いんだろう。片方の言葉だけを聞いて物事を決めんのは頭が悪すぎる』
「みんな海みたいに賢く生きてねぇんだよ。自分が信じたいものを信じて、それ以外は切り捨てる。そういうもんだろ?」
『それが愚かだと言ってるんだ。盲目的になっては客観性を失う。おかしいと気づいた時、声をあげても誰も見向きもしない。逆にお前がおかしいんだと言われ、集団に掻き消される』
「悪い、これ何の話?」
『集団心理の恐ろしさ』
「うん。ごめん、わかんないわ」
⋆ ・⋆ ・⋆ ・⋆
どうしても囮が必要だと訴えた結果、定春に銀時によく似た人形を乗せて走らせるという作戦を導入。
定春を危険な目に合わせるくらいなら海が一人ずつ昏倒させると提案したが即座に却下された。
『本当に一人でいくつもりかよ』
「パパっと終わらせてくっからここで待ってろって」
『三分』
「なにその短さ!カップラーメンくらいしか作れねぇじゃねぇか!」
『カップラーメンは三分も待たない。一分で十分だろ』
「バリカタ好きかよ!そんな好み聞いてねぇから!」
『怪我せず戻ってくるなら時間は容赦してやる』
「すっごい上から!!心配されてるのかなんなのかよく分かんないんだけど!?」
本当は一緒について行って守れることなら守ってやりたいところだが、銀時は付き添いも拒否してしまった。海は町民たちにバレない安全なところで待機命令。
「はぁ……まぁいいや、とりあえず行ってくる」
『気をつけて』
「おう。また後でな」
そう言って銀時は姿を消した。途端に通りが騒がしくなる。定春を追いかけていく者と、喧騒に紛れて消えた銀時に気づいて動き出すもの。
皆が必死になって銀時を捕まえようとしている。
『これがお前の望む結果か?金時』
「さぁな。俺はただ仇をとると言っただけだ。銀時を殺ると決めたのはアイツらで俺じゃない」
銀時がここを離れたすぐに感じた気配。
あの時と同じ、不気味な笑みを張りつけた金時が海の背後に立っていた。
.