第198幕
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「海!たまを源外のジジイの所に連れてくぞ!」
ボロボロになってしまったたまを抱き上げて路地裏を出ていく銀時。海もその後を追おうとしたが、先程投げた刀を思い出して踵を返した。
銀時たちは先に行ってしまったので、ここには海と銀時にボコられた金時だけ。
刀を鞘へと戻して海も路地裏を出ようと一歩踏み出した。
「まだお前は思い出してないみたいだな」
後ろから聞こえてきたのは楽しげに笑う金時の声。
「銀時の手伝いなんてやめて俺のところに来たらどうだ?」
『寝言は寝て言え。いや、カラクリには睡眠という概念は存在しないか。再起不能になれば永遠の眠りにつけるだろう』
不快な笑い声をあげ続ける金時に海は戻したばかりの刃を突きつける。ここでこいつを壊せば何もかも解決するのではないかと。
「残念だが、お前は銀時のことを思い出すことはねぇよ。最初からお前の負けだ」
刀を突きつけられてもなお笑う金時に嫌悪感が増していく。一思いにここで壊してやる。そう思って刀を振り上げたその時。
「金さん!!!」
「金ちゃん!!」
「おーう、お前らか。タイミング良いな。ちょっと手ェ貸してくれ」
「誰にやられたアルカ!?」
「どうしてこんなボロボロなんです!?それに海さんも何してるんですか!!」
金時の元に駆けつけてきたのは新八と神楽。座り込んでいる金時に泣きつく神楽に海は小さく舌打ちを漏らす。金時に向けていた刀を鞘へと納め、たまの様子を見に行くべく路地裏を去ろうと歩き出した。
「海さん!!金さんがこんなになってるのにどこに行くんですか!あなた、金さんが心配じゃないんですか!?」
『なぜ俺がそいつの心配をしなくてはならない?』
「何故って……海さんは金さんの恋人でしょうが!!」
新八の口から飛び出た言葉に海は足を止め彼らの方を振り返る。たまたま目が合った神楽はとても怯えた顔をしていた。
「海……さん……?」
『誰が誰の恋人だって?新八、お前は馬鹿ではないと思っていたが賢くもないな』
「なんで……どうしてそんなこと言うんですか」
『ならば何故お前は俺とそこにいる奴が恋人同士だと?』
「だってそれは金さんが!」
『"言われた"からそれを鵜呑みにしたと?』
「今までだってそうじゃないですか!海さんはずっと金さんの……!」
新八はそこで口ごもり黙った。
『言いたいことがあるならはっきり言え』
「海さんはずっと……金さんの……?」
先程までの威勢はどこへやら。戸惑いの表情で新八は海を見つめ、その目は段々と下がっていく。
「なんで?海さんは金さんの恋人のはずなのに……でも、僕一度も海さんと金さんが話してるところ見たことない」
その言葉に反応したのは金時の方。無表情で何を考えているのかはわからないが、新八のことをじっと見つめていた。
『子供らに手を出したら容赦しねぇからな』
疑問に苛まれている新八を無視し、海は金時を睨む。これ以上、新八と神楽に余計な負担をかけるわけにはいかない。
彼らはきっと銀時のことを思い出すだろう。
次、二人が変なことを言い出したらその時は確実に金時を殺す。
殺意に満ちた瞳で金時を見たのち、海は漸く路地裏から出た。
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