第197幕
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「海……?」
『は……?』
「お前今!!何か思い出したのか?!」
銀時に両肩をガシッと掴まれて強く揺さぶられる。側で見守っているたまも期待した目を海に向けていた。
『何も……ただ、お前らが言い合ってる姿が昔に似てて……それで……』
意図せず言葉に出してしまった。そう言った海に銀時は悲しげな表情を浮かべて肩を落とした。
「銀時様、気を落とさないでください。少しずつですが、海様は記憶を取り戻しています」
「わかってる。わかってるけど……」
「海様、他に何か思い出したことはありませんか?」
『他に……』
あの白い戦装束を着た男の姿しか思い出せない。戦場にいて、晋助とあれだけ話していたのだ。海も男と顔見知りの可能性が高い。しかも、海は二人の喧嘩に何度も仲裁に入っている。顔見知りどころか友人関係だったのではないだろうか。
『白い、』
「白い?」
『白い戦装束を着た男……それくらいしか思い出せない』
そんなでは思い出したうちに入らないだろう。海はそう思っていたのだが、銀時だけは違っていた。
「そいつ……天人と戦ってなかったか?」
『ああ、俺も一緒にその場で……』
戦っていた。と続けようとしたが、言葉を遮るように銀時が抱きついてきた。突然のことだったのでされるがまま。
『おい!』
「そんな古い記憶からなのかよ」
『は?』
「それより前の記憶は?白い戦装束の男だけ?」
強く抱きしめながら銀時は海の耳元で囁くように聞いてくる。なんでこんな至近距離で、と思ったが、たまが目に入った時に銀時の思惑がわかった。
『ない。晋助と桂と辰馬、それと男だけ。多分、その男と俺は仲が良かったんだと思う』
戦争の話をでかい声で話すわけにはいかない。
小声で思い出したことの詳細を告げると、銀時は海を抱く腕に力を込めた。
「そ、っか。うん、今はそれでいいよ」
悲しげな声で銀時は呟き、それきり何も言わなくなった。いい加減離れろと言いたかったが、銀時の纏う雰囲気を感じ取った海は振り上げようとした足を静かに下ろした。
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