第197幕
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「……やっと、眠ってくださったんですね」
「あ?」
「ずっと起きていたんです。屯所に帰らなくなってから、海様はずっと町中をフラフラとしていたんです。何度か屯所に戻られてはどうですかと声をかけたのですが、はぐらかされるだけで」
金時が現れてから海の周りは激変した。出張から戻ってきたら知らない男が万事屋を営んでいるし、知り合い全員が銀時のことを知らないと言う。そんな中、たった一人で海は銀時を探し続けたのだ。
休み時間なんて無かったのかもしれない。疲れているところにまた面倒事が起きた。解決しようにも海の味方になってくれる人がいない状態。だからこそ、海は直接金時に会いに行ったのだろう。
そこで何があったのかはまだ銀時たちは知らない。海もその時の記憶を消されているから聞かれたとしても答えることが出来ないでいる。
唯一の救いといえば、海が金時の味方でないというところ。
「無理しすぎなんだよ、お前は」
眠っている海の頬を優しく撫でると、擽ったそうにもぞりと動いた。
「銀時様、まさかと思いますが、海様に手を出したりしていませんよね?」
「するわけねぇだろ!こんなに疲れてるやつに出せるかよ!」
「銀時様なら見境なく襲うと思いましたので」
「人のことなんだと思ってんだ!」
「性欲の塊」
ピシャッと言い放つたまに苛立ちが募り、銀時は思わず大きな声を出した。
「そんなに溜まってねぇよ!!」
「あっ……」
叫んでから数秒後、たまが目を見開いて呟く。視線の先は銀時の腕の中。
『……うるさい』
「あっ、」
ごめん、という前に銀時はベッドから蹴り飛ばされ、床へと落ちる。
「海様、おはようございます」
『…………まだ、眠い』
「もう少しお休みになられますか?」
『……今日どこ行くの』
「柳生家に行く予定です」
『俺必要?』
「出来れば海様も一緒に来ていただきたいのですが……」
「寝かしてやれよ。まだ眠いんだろ?久しぶりにゆっくり休めてるんだったらこのままでいいじゃねぇか。無理に連れ出さなくったって」
ぶつけた頭を擦りながら起き上がり、布団の中にいる海を見遣る。起きてはいるようだが、頭がはっきりしていないのか虚ろな目をしているのが見えた。こんな状態で外を歩かせるなんて可哀想だ。
『必要なら行く、から』
「いえ、本日はお休みになってください。こちらの事はなんとかしてみせます」
たまをじっと見つめてから海は銀時へと目を向ける。本当に大丈夫なのか、と言いたげな顔。そんな彼を安心させるべく、銀時は黒髪を優しく撫でた。
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