第196幕
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無防備に眠る恋人を前にしてどれ程の人間が己の欲求を押し殺すことが出来るだろうか。
「無理だろ、どう考えたって。一年ぶりですよ?銀さんの銀さんガチガチよ?今すぐにでも襲いたいんだけど?」
行為をするのに最適すぎる場所。何もしないでただ寝るだけなんてもったいない。普通のホテルではつまらないと思って、騙し騙しで海をここに連れ込んだのに。
部屋に着いた途端、海はお眠になってしまった。
「……無理だわ。ヤりてぇけど、こんな疲れた顔してるやつ叩き起すなんてことできねぇ」
目の下には濃いクマ。歩かせればふらつく身体。本人は気づいていないのか、傍目から見れば酷い有様だった。時折、定春が身体を寄せて海の身体を支えるほどにだ。本人は定春が甘えてきたと勘違いして、あの白い毛並みをわしゃわしゃと撫で回していたが。
「早くなんとかしなきゃいけねぇのは分かってるんだけど……」
一体これからどうすればいいのか。明日もまた金時の邪魔……新八と神楽が銀時のことを思い出させるために動くつもりではあるのだが、進展している気が全くと言っていいほど感じられない。
「マジで俺これからどうすりゃいいんだよ。もし、誰も思い出さなかったら……」
"坂田銀時"という存在が皆の記憶から消えたままだったら。
「俺は──」
『……うるさい』
ポツリと聞こえたのは不機嫌そうな声。もぞりとこちらへと顔をのぞかせた海が、ムッとした顔で銀時を睨んでいた。
「あ、わり」
『ぶつぶつ何言ってんだよ』
「いや、えっと……今日の反省会みたいな?」
『寝てる人間の横ですることかよ』
「スミマセン」
気持ちよく寝ていたところを起こされれば誰だって不機嫌になる。申し訳なさそうに謝って、また海を寝かしつけようと手を伸ばした。
「悪かったって。もううるさくしねぇから、ね?」
『……話くらいなら付き合う』
「え?」
『一人で考え込んでたって仕方ないだろ。明日また金時のところに行くのであれば、何かしらの策は練っておいた方がいい』
「そりゃそうかもしんねぇけど……お前、眠いんじゃないのかよ」
『起こしたのは誰だ』
「…………スミマセン」
結局、海がちゃんと眠りにつけたのは夜中の二時頃だった。話の殆どは銀時を叱る様なものだったが、たまに励ますような言葉も混じっていて、海の優しさが身に染みた。
その間、銀時の息子は常に戦闘態勢になっていたが。
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