第196幕
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「んな顔すんなよ。別に手ぇ出したりしねぇから……多分」
ホテルで借りた部屋に入るなり海はキッと銀時を睨んで右足を振り上げた。狭い廊下なのに銀時は海の足を軽く躱して中へと入っていく。
『なんで俺までここに泊まらなきゃいけないんだ。しかもここは……!』
「お前一人にしたら危ないだろうが。別に寝るだけなんだからいいだろ?ラブホテル」
『普通のホテルに入ればよかっただろうが!な、な、なんでこんないかがわしいホテルにしたんだよ!!』
「いかがわしいって……お前、前はいつも……あー、記憶が無いんだっけか」
扉の前から動けない海に銀時は小さくため息をつく。
「こっちおいで。使うのは風呂とベッドだけなんだからよ。変に触らなきゃ普通のホテルと変わらねぇよ。逆にそんな毛を逆立ててる方がいかがわしく見えるんだけど?」
見た目からして普通のホテルと違うのにどうやって気を紛らわせろというのか。
中に入るのを躊躇っていると、銀時の方が海の元へと歩み寄ってきた。
「俺との記憶がないってことは純粋ちゃんのままってことか。なんかそれはそれで新鮮だけど、今はそれに付き合ってられる余裕はねぇな」
『何訳の分からないことを……って、おいッ!』
目の前に来たかと思えば、銀時は海の身体を抱き上げて部屋の中へとズンズン進んで行った。落とされた先はベッドの上。
「もう何日もまともに休んでないだろ。目の下のクマが濃すぎるんだよ。とっとと寝なさい」
『別に俺は……!』
「寝ろ。何度も言わせんな」
自分は大丈夫だと訴えたが、銀時は海の言葉を無視。靴を脱がされ上着を剥ぎ取られ布団の中へと押し込まれる。
『おい、人の話聞け!』
「はいはい。話は明日の朝聞くから。今は黙って寝ろ」
横になっている海の隣に銀時も寝転がり、寝かしつけるように海の背中を撫でる。最初こそは寝ないようにと必死に目を開けていたが、久しぶりに横になったことでどっと疲れが出てきた。自分の意思とは真逆で、身体は休息を欲している。
「おやすみ、海」
優しげな銀時の言葉を最後に海の意識はプツリと途切れた。
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