第196幕
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スナックスマイルの店先でぼうっと立っていた海の元へ銀時たちが戻ってきたのはそれから二時間ほどたった頃だった。
『上手くいったのか?』
「上手くいくわけねぇだろ!!むしろあいつの株を上げちまったよ!!」
『たま』
「申し訳ありません。私の説得力不足です。次こそは……」
「もうカラクリたちの昼休みはいいんだよ!!大体、それ俺関係ないだろうが!!」
どうやらたまのフォローが上手くいかなかったらしく、新八と神楽が銀時のことを思い出すきっかけを作ることは出来なかったようだ。むしろ、余計に金時に懐いたとか何とか。
『一度の失敗で騒ぐなよ。そもそもお前はたまを責められる立場じゃないだろ。お前自身がどうにかしないといけない問題をたまに手伝わせてるんだから』
海の言葉に銀時は悔しそうに歯噛みし、黙りこくった。
「すみません、海様」
『謝ることは無い。俺は何もしてないし』
「ですが……」
『時間制限があるわけじゃないんだから。ゆっくりやっていけばいいんじゃないか?焦ってやろうとするから失敗する。おい、お前もいつまでもイジイジしてないで次やることを考えろ』
店先でブツブツと文句を言っている銀時。道行く人は危ない人を見るような目をしながら海たちから距離を置いて歩いている。知り合いと目が会う度に、なんでもない様な素振りを見せながら会釈をするのに苦労した。
『ここは人の目がある。場所を移動するぞ』
先程から店員にも冷たい目を向けられている。銀時たちが店内で何をしたのかは分からないが、店員の態度があからさまなのでなんとなくだが察した。
『店、出禁になるぞ。お前ら』
「あんな店二度と行くか!!」
今にも泣きそうな顔で銀時は悪態つき、海の後を静かに追ってくる。店に迷惑をかけたのはお前だろう、と言いたくなったのを寸前で飲み込みこんだ。
「海様、どちらへいかれるのですか?」
『もうこんな時間なんだ。こいつの寝る場所確保しないといけないだろ』
本人は万事屋が家だと主張している。だが、あそこは金時たちの家だ。そうなると銀時の帰る場所がない。
外に放り出していて何かあってはめんどくさい。そう思って海は今夜泊まる場所を探していた。
「お前は?屯所に帰んのかよ」
『帰らない』
「は?なんで。帰らねぇと多串くんとかうるせぇんじゃねぇの?」
『誰だ多串って。書類は弟に任せてるから問題ない。上司には出張の延長と言ってある』
「よくそんなんで騙せたな……」
別に帰ったところで居心地が悪いだけだ。近藤はやたらと金時の話をしてくるし、土方は金時との仲を聞いてくる。朔夜もそうだ。
だから帰りたくない。自分だけ別の所に取り残された気分がして。
『別に俺が居なくても……』
「あっそ。なら今夜は俺と一緒にいろよ」
『それは断る』
「はぁ!?!?」
真顔で頭を横に振ると銀時はまた喚き散らす。金時に狙われたりしたら、他のやつに何か言われたら。そう言って騒ぐ銀時に不思議と笑いが込み上げてきた。
人のことなのに自分の事のように言う彼が面白くて。
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