第195幕
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「海様が記憶を失われたのは坂田金時との接触によるものです」
自己紹介も終わり、海が銀時についてある程度のことを知った頃、海が記憶を失った経緯をたまが話し始めた。
「万事屋の店主として名を響かせていた坂田金時に直接会いに行った。自分が知っている万事屋の店主は坂田金時ではなく、坂田銀時だと」
「直接本人にって……海らしいけどよ……」
あまりにも無謀すぎないか?と海をちらりと見やる。本人も自分がした行動に驚いているらしく、目をぱちくりとしていた。
『そんな馬鹿なことしたのか』
「はい。それほど気にされていたのでしょう。その結果、海様は記憶を失いました。自ら敵陣に赴いてしまったので」
「待てよ。あのプラモデルに会いに行ってなんで記憶がなくなるわけ?」
「彼は特殊な催眠波によって海様の脳内の記憶を操作したんです。神楽様や新八様、そして町の人達は記憶を抹消され、記憶を書き換えられています」
みんなの記憶から銀時が消えた理由は金時によるもの。海の記憶が失われたのは金時と接触し、催眠波を受けてしまったから。だが、海は記憶の改ざんはされていない。
「それならなんであいつのことを知らねぇんだ?記憶が消されてあのプラモデルの記憶が植え付けられるんじゃねぇのか?」
「それは私にもわかりません」
「は?え?知ってるんじゃねぇの?さっきまで知ってる風だったじゃん」
「坂田金時の事をお聞きしたら海様は知らないと仰ったんです。坂田金時と会っても海様は無反応でしたので」
無反応?そんなはずはない。銀時が金時を殴った時、海は心配げに金時のことを見ていた。だから銀時は海も自分のことを忘れてしまったのだと思ったのだ。
「海、お前本当にあのプラモデルのこと知らねぇの?」
『知らない。あいつもお前と同じく突然現れた』
「じゃあ、なんで俺が殴ったときあんなに心配そうな顔で見てたの?」
『人が倒れてたんだ。誰だって心配するもんじゃないのか?』
「え……?それだけ?」
『それ以上に何がある。倒れてるのがお前だったら同じことをする』
自分は警察なのだから当たり前だろう。そう言った海に銀時はガックリ、と項垂れた。
海が本当に金時のことを知らなかったことに驚き、銀時の勘違いだったという安心に。
「海、お前あのプラモデルに会った時のことは覚えてるか?」
銀時のことは覚えていない。それはまぁもう仕方ないとして、次は何故坂田金時のことを知らないかだ。
『会ったとき……』
「そう。なんか覚えてなさそうだけど、一応ね?」
海が金時に直接会いに行ったことをたまから聞いた時は驚いていた。ということは、その時の記憶も曖昧になってしまっているということ。思い出せなければそれまでだが、何か覚えていることがあるならば一応聞いておきたい。
『…………』
「わかんなきゃいいよ。無理に思い出さなくても」
『気持ち……悪かった。それだけは覚えてる』
海の表情が一瞬にして曇り、嫌悪へと変わる。声色もずんっと重くなり、どれほど海が嫌な思いをしたのかが、こちらにも伝わってくるほどに。
「悪かった、思い出させて」
暗くなってしまった顔へと手を伸ばし、優しく頬を撫でる。頼りなさげな目で海は銀時を見つめた。
『別に……』
「ごめんな」
『お前のせいじゃないだろ。謝られるいわれはない』
撫でていた手は叩き落とされ、海は銀時からそっぽ向いてしまう。
結局、海が金時を知らない理由はわからなかった。だが、それ以上のものを得られたから良しとしよう。
「(耳まで赤くして照れてやんの)」
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