第194幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あの男を殴ったのはお前で間違えないな?』
「えっ……と、」
『間違えないなと聞いているんだが?』
銀時の前まで来た海は冷めた目で銀時を見下ろす。その目に鳥肌がたち、恐怖で支配されていく。
海は銀時のことを忘れてしまっているかもしれない、と。
『面倒なことをしてくれたな。お前、誰を殴ったのかわかってるのか?』
「そ、そんなこと知らねぇよ!あんなぽっと出の男なんかこれっぽっちも知らねぇ!」
『知らずに殴るといい度胸じゃねぇか』
海の目に宿ったのは怒り。鋭い目付きで銀時を睨むと、海は腰にある刀へと手を伸ばした。
「ちょ、待てよ!そこまでするか普通!」
抜かれた刃は銀時の顔スレスレのところに突き刺さる。相変わらずの速さで避けることも出来ず、刀が見えた時には冷や汗がぶわりと出た。
『この町で面倒ごとは起こすな。お前の身のためだ』
「わ、わかったから!わかったから刀をしまえよ!」
銀時をじっと見つめた後、海は刀を鞘へと戻す。それでも海の視線は鋭いままで、銀時はその目を直視出来なくて俯いた。
「お前も……俺の事忘れたのかよ……」
ポツリと呟いた言葉は誰も拾ってくれることはなく消える。
最後の頼みの綱だと思っていた海でさえ銀時を忘れていた。もう誰も坂田銀時を覚えていない。
『とっととここから立ち去れ。邪魔だ』
海は吐き捨てるように言うと、新八たちが向かった方へと歩き出した。きっと彼も坂田金時のことを心配しているのだろう。倒れていた坂田金時を心配そうに見ていたのだから。
「俺……一人じゃん」
項垂れる銀時を町の人達はうざったそうに眺める。
海が去った後、何人も見慣れた顔ぶれが銀時の前を通って行ったが、誰一人として銀時に声をかけることは無かった。
誰一人として。
.