第194幕
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「うーい……帰ったぞーい」
千鳥足で自宅へと戻った銀時は見慣れた戸を乱暴に引いた。
朝まで飲み歩いていたせいで自分でも酒臭いのがわかる。これではまた神楽と新八に怒られるだろう。でも、今は気分がいいから多少の文句くらい何とでもない。
「銀さんが帰ったっつってんだろうが」
玄関先でしゃっくりをしながら新八たちを呼びつけるも、二人は来ることはなかった。いつもなら面倒くさそうな顔をしながらも出迎えてくれるというのに。
「んだ、無愛想なヤツらだな。しばらく出番がなかったからふてくされてんのか?一年休んだくらいで」
ぽいぽいとブーツを脱ぎ捨て、ふらふらとした足取りで居間へと向かう。扉を開けて新八たちに声をかけ、土産の饅頭も見せたのだが、なにやら様子がおかしかった。
「もぉー、なにやってんですか。遅いですよ」
「早く支度するヨロシ。客が来てるアルよ」
なんだ客が来てるのか。そう思った銀時は軽く謝りながら二人へと近づいていく。酒でふわふわの頭ではよく考えられない。
新八と神楽が一切自分の方を見ていなかった事にもこの時は気づきもしなかった。
「金ちゃん!」
「金さん!」
二人が口を揃えて呼んだ名前は自分の名前ではない。濁点が消え、"銀"から"金"になっていた。
「おう、悪い悪い。昨日ちょっと飲み過ぎちまって、頭痛くてよ」
自分がいつも寝室として使っている部屋から出てきたのは、己とは真逆の男。金髪のストレートヘアー。服もジャージが白で着流しが黒。
そして自分より無駄に爽やかだった。
「すいません、お客さん。お見苦しいところお見せして。俺が万事屋の坂田 金時です。どうぞ、おかけになってください。お客さん」
なんだこれは。
坂田金時?いやいや、違うだろう。それじゃあ、平安中期の武将になってしまう。実在した偉人の名前をいじってキャラクターが出来ているのだ。確かに子供らには間違った名前で偉人の名前覚えちまって、テストとかで間違えられるなんてことはあるけども!
だからといって今から名前変えますー、はないだろう。そんなことしたら今までのことはどうなるんだ。なに?銀時のところ全部金時にするの?そんなんめんどくせぇよ?
「ははっ……すいませーん……間違えました」
混乱している頭をそのままに銀時は一度この場を離れることにした。来た道を戻り、不思議そうにしている新八たちの顔を横目に外へと出る。
「んだ、おい……。酔っ払ってよその小説んちに突撃朝ごはんしちゃったよ。あー、びっくりした。知らなかったぜ、未だに更新し続けてるサイトがあったなんてよ。ファイナルが上映されたあとなら更新復活するサイトが出てくるかと思ったのにどこも動いてなくてショックだったのによ。なんだ、まだ更新してるサイトあったのか。安心したわ、続きが気になる作品がたくさんあるから。これからまた更新復活してくれるサイトが増えてくれることを俺は楽しみにして……」
元のサイトへと帰ろうとした銀時の目に映ったもの。
それは何度何度も見た看板。
「……どこに帰ればいいんだ?ちょっと待て、酔いのせいなんかじゃねぇ。確かに看板こそ変わっちゃいるがあれは紛れもねぇ俺んちだ!ここの小説のタイトルは変わっちゃいねぇ!一年前と同じ青いうんたらかんたらじゃねぇか!」
変わってないものと変わったものの差が大きく、銀時はまた混乱へと陥る。今までの記憶を遡ってみても、金髪ストパーの面影などどこにもいない。それなのに彼はこうして小説の中に現れ、あろうことか自分の役まで奪っていった。
「ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ家空けてただけなのに?なぜ!?なんで!?ホワイ!?」
現状の把握をしようとするも、銀時の頭にはハテナしか浮かばない。そんな彼の耳に届いたのは戸が開く音。音に反応して顔を上げると、そこには仲良さげに笑い合う新八と神楽、そして"坂田金時"と名乗った男。
「どうして主人公(仮)の玉座が銀の玉から金のたまに変わってるー!?」
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