第193幕
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八百屋の息子は隊士たちによって屯所へと連れていかれた。見回りが終わり次第、近藤に説明しておいた方がいいだろう。
「兄さん、保護なんかで大丈夫なの?」
心配気に朔夜が呟く。
「そうですよ!あの人、海さんを殴ろうとしてたんですよ?それに自分のお母さんにまで暴力をふるってるなんて……」
『民事不介入っていう言葉知ってるか?』
「民事……え?」
『民事不介入。警察でも関われるものと関われないものがある。親子喧嘩には口が出せない』
「そんな……!おばさんあんなに困ってたのに!なんでダメなの!?」
朔夜の言いたいことはわかる。今すぐにでも捕まえることが出来れば、おばさんは安心するだろう。
でも、おばさんは息子が捕まってしまうことは望んではいないだろう。海が息子を保護すると言い出した時、だいぶ悩んでいたのだから。
『(どんな野郎であっても息子は息子ってことか)』
おばさんには旦那さんと相談するように勧めた。一応、何があるかわからないからおばさんが迎えに来るまでは息子を屯所で預かると言って。
『これ以上俺たちの方で出来ることは無い。後はおばさんたちが決めるしかない』
そう言って海は歩き出す。まだ納得していない新八と朔夜はその場で俯いていたが。
『そういえば、なんでここに居たんだ?新八』
「え?あ……海さんと朔夜くんに新年の挨拶をしようと思って」
『それでここにいたのか。巻き込んで悪かった』
「いいえ、大丈夫ですよ。遅くなりましたが、改めて。あけましておめでとうございます」
『あけましておめでとう、新八』
ぺこりと頭を下げる新八に海も頭を下げる。朔夜も新八に頭を下げて新年の挨拶を口にした。
『新八、これ持ってけよ』
「え?なんですか……?これ」
胸元から取り出したのは朔夜に渡したのと同じポチ袋。新八と神楽の二つ分を新八へと手渡した。
『どうせアイツは渡さない……というか、渡せないだろ?』
あの万年金欠が新八と神楽にお年玉を渡せるとは思えない。だから代わりに海が出した。普段から銀時の世話をしてくれている礼も兼ねて。
「そんな、もらえないですよ!いつも海さんに助けてもらってるのに、お年玉ももらうなんて……!」
『子供が大人に助けてもらうのは当たり前だろ。甘えていられるのも今だけだ。だから今は受け取っておけよ』
「で、でも……」
「新八さん、僕も兄さんにもらったんです!だから、ね?」
「それは朔夜が海さんの弟だからだよ。僕は海さんとは……」
『弟子だから、じゃ、ダメか?』
「あっ……」
『弟子じゃなくても渡してるが、理由が必要だって言うならそれで』
うーんと悩む新八に朔夜があれやこれやと言いくるめて説得し、彼は漸くポチ袋へと手を伸ばした。
「すみません」
『謝ることはないだろ。俺が勝手に用意したんだから』
「でも、」
『でもも、だってもない。そこは素直に受け取っとけ』
申し訳なさそうに俯いてる頭に手を乗せて乱暴に撫でまくる。恥ずかしそうに顔を赤くさせた新八を見て、朔夜は嬉しそうに笑っていた。
『さて、見回り再開するか』
「うん!」
新八を万事屋まで見送り、その後、海は朔夜と共に見回りへと歩いて行った。
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