第193幕
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「あれ?海さん?」
「新八さん!」
「どうし……え!?海さん!?」
ふらりと現れた新八は胸ぐらを掴まれている海を見るなりこちらへと走りよってきて、男性の腕を掴んだ。
「ちょっと!何してるんですか!」
「ガキが入ってくんじゃねぇ!」
新八の手を振り払い、そのうえ新八を殴ろうと拳を振りかざす。その手がぶつかる前に海は横から掴んで止めた。
『親どころか子供にも手をあげるのか。相当ねじ曲がった性格だな』
「こいつらが悪いんだろうが!俺の邪魔をするから!」
『思い通りにならなければ暴力で訴えるのか?』
「うるせぇ!!!」
海の言葉に憤慨し、矛先は新八からこちらへと戻る。またしても海を殴ろうと拳を振り上げるが、男の手が海に当たることはなかった。
「え゙」
「に、兄さん……」
『正月早々から騒がしい。少し眠らせておけ』
振り上げた手を掴んで背負い投げ。男性は道の真ん中で大の字に倒れて気絶した。
「ごめんね、海くん」
『気にしないでください。それより、このようなことはいつも……?』
「いつもは旦那が抑えてくれるんだけど……今入院してていないのよ……」
八百屋のおばさんは悲しげに俯いて黙りこくった。
「兄さん、このままじゃおばさんが……」
『でも、今は出来ることがない』
おばさんが息子さんに殴られているところを見ていたら屯所に連れていくことは出来ただろう。だが、それを未然に防いでしまったため、彼を連れていくことは出来ない。
「海さん、暴行してなくても恐喝とかはダメなんですか?」
『どうだろうな』
いかにして八百屋の息子を捕まえるかを考える新八と朔夜。そんな二人を横目に海はおばさんへと口を開いた。
『どうしますか?』
「えっ?」
『捕まえるとなると彼は前科がつくことになります。そうすれば職探しも難しくなるだろうし、世間の目も厳しいものになる。でも、"保護"という形であれば彼の履歴が傷つくことありません』
「保護……?」
『酒の臭いがしたので。彼は相当酔っているのでは?』
息子が喋る度にムワッと酒の臭いがした。海に対して支離滅裂な言葉を並べていたのも、酔っ払っていたから正常な判断が出来ていなかったということだろう。
酔っ払って道端で倒れていた。その体で保護すれば一時的にだがおばさんから離すことは出来る。
『どうします?』
海の問いにおばさんは暫く悩んでから、深々と頭を下げた。
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