第193幕
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「えっ、じゃあお年玉って色んな人からもらえるものなの?」
『そうじゃない。親やその親戚からもらうくらいだ』
「へぇ……」
お年玉を軽く説明すると、朔夜は目を輝かせた。お金がもらえる、というよりも人からプレゼントをもらえるのが嬉しいという感じ。今まで親からも親戚からも何ももらえなかった朔夜からしてみれば、新鮮な気持ちなのだろう。
『ほら、これやるよ』
「へ?」
懐から出したのはポチ袋。わざわざこの為だけにこんな袋を買うのもどうかと思ったのだが、この日の為だから買うものじゃないか?と近藤に言われて手にしたものだ。
手のひらサイズの小さな袋の中には一万円が入っている。まだ10代前半の朔夜には多すぎる小遣いだが、これを機にお金の使い方を学べばいいと海は思った。
『無駄遣いはするなよ?本当に必要なものだけ買え。買うか迷ったものは一旦日にちを置け。それでもまだ買いたいものだったら買いに行け』
衝動的に欲しいと思ったものは、日にちを置くと大して欲しいものでもなかったりする。そう言うと、朔夜は深く頷いた。
「……もらっても、いいの?」
『もらったことないんだろ?』
「うん」
『ならやる』
差し出されたポチ袋を朔夜はおずおずと手に取る。両手でしっかりと掴みじっと見つめると、嬉しそうに笑った。
「ありがとう!兄さん!大事にするね!」
『無くさないようにな』
「うん!!」
お年玉一つでこんなにも喜ばれるとは思っていなかった。こんなに喜んでもらえるなら毎年やってもいいかもしれない。
『俺は見回り行くから。お前は屯所戻れよ?』
「僕もついていっちゃダメ?」
『寒いんだからわざわざ外に出なくてもいいだろ』
「寒さは大丈夫!ちゃんと上着着てきたから!」
屯所に戻った方がいいと言ったのだが、頑なに朔夜は海と見回りに行きたいと言ってきかなかった。それでも戻れと言おうとしたのだが、朔夜がしょげた顔で呟いた言葉に海は固まった。
「だって戻ったってつまんないんだもん。みんなお酒飲んでるから。酔っ払って変な絡み方してくるし、お酒臭いし。タバコ臭いし」
『……総悟はどうした』
「………………飲んでる」
『あのクソガキッ!』
見回りよりも先に屯所の中を掃除した方がいいのではないか。と海は刀の柄を掴みながら額に青筋を浮かべた。
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