忘れた頃にやってくる(土方ver)
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「あっ、あれ?副長?どうしたんですか?こんなところで」
「お前らこそこんなところで何してんだ。消灯時間はとっくに過ぎてるだろう」
海が風呂へ入っていた後、数人の隊士らが土方の前に顔を出した。どことなく動揺しているような顔で話す隊士に向けて目を細めた。
「そ、その……さっきまで稽古してたもので」
「稽古だ?こんな時間までやってたっていうのか?」
「はい。俺ら最近入ったんで、先輩たちに早く追いつきたいんですよ」
ヘラヘラと笑う隊士らに不審感が増していく。やはりここに残って正解だったようだ。
──海さん、前から狙われてるんですよ。隙あらば抱いてやろうって。
部屋に来た総悟がそんなことを言っていてまさかと思っていた。海が自分の恋人だということはもう周知の事実だ。海の事を好いている隊士たちがチラホラと居ることは知っているが、皆土方が牽制したことにより手を出すようなことはして来ない。
それに下手に海に手を出せば返り討ちにされるということも知っている。
古くから付き合いのある奴らは海がどれだけ強いかを知っているから手を出さないが、ここ最近入った新人たちは海の実力を知らない。それどころか、副長補佐についているのは実力ではなく身体を使ったのではないかと思われているくらいだ。
土方の前にいるコイツらがその筆頭。
「汗かいたんで風呂入りたいんですけど……」
「今はやめておけ」
「なんでですか?」
「入ってるやつがいるからだ」
「別に男同士なら大丈夫ですよ」
「総悟から聞いてないのか?今、屯所には女がいんだよ」
「ああ、聞きました。でも、副長補佐ですよね?別にあの人なら良くないですか?」
「そうですよ!あの人副長や局長と寝てるんですよね?だったら自分の身体見られるくらい気にしないんじゃ?」
気色悪い笑いをあげる隊士どもに土方の苛立ちは募っていく。ここに刀があったら今すぐ斬り伏せているところだ。
「てか、副長たちだけずるいですよ。俺たちにも貸して欲しいんですけど」
「テメェら人が黙ってればベラベラと──」
「なんだ?お前らこんなところでどうしたんだ?」
怒りが抑えきれなくなって怒鳴ろうと口を開いた土方の肩にポンッと手が乗る。そちらへと顔を向けると近藤がにっこりと笑いながら立っていた。
「こんな時間にまで元気に騒いでるなんて感心だなぁ!お前らは明日の張り込み頼んじゃおうかな」
「え゙、いや局長これは……」
「どうした?夜中まで稽古して俺らに追いつきたかったんだろ?なら張り込みの一つや二つくらい出来るだろう」
ニコニコと顔は笑っているが、隊士らに向けている目は冷たく厳しい。夜中まで稽古をしていたということを知っているということは、近藤は最初から彼らの話を聞いていたということになる。
「それはいくら何でも酷いですよ。俺らやっと仕事を覚えてきたっていうのに」
「だからなんだ?俺らの仲間であるならこれくらい出来るんじゃねぇか?人のこととやかく言ってる暇があるなら自分の仕事くらいきっちりやったらどうだ」
「ぐ……!」
これ以上近藤に楯突いても無駄だと察した奴らはそそくさと風呂場の前から逃げていった。海の事を侮辱していた男が一瞬こちらを振り返り、土方を睨んで行ったが。
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