忘れた頃にやってくる(土方ver)
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部屋に戻ったあと、また書類と向き合って数時間。仕切りの向こうからドサッという音が聞こえて顔を上げた。
「どうした?」
海に問いかけても返事は返ってこない。不審に思って仕切りの奥を覗くと、海が倒れているのが見えた。
「海!おい、どうした!」
倒れている身体を抱き起こして揺さぶるが、海はうんともすんとも言わなかった。
「海!!しっかりしろ!」
強く揺さぶり続けると、ゆっくりと瞼が持ち上がる。
『ひじ、かた?』
「大丈夫か!?」
『……ねむい』
「は……?」
『すこし、だけ寝かせて』
それだけ呟くと海はまた静かになった。
「……寝てただけ?」
身体に不調が出たのかと心配したのに、本人は眠いと言ってスヤスヤと眠っている。人の気も知らないで気持ちよさそうな寝顔を浮かべやがってと土方は口元をひくつかせながら文句をグッと飲み込んだ。
押し入れから布団を引っ張り出して海を寝かせる。ゴロンっと横になった海は少し苦しそうに呻いた。
「帯がきついのか?」
トイレに行った時に帯を締め直したのだ。きっとそのせいで寝苦しいのかもしれない。
掛け布団をかける前に着物の帯を外す。着物の前がはだけて白い肌が見え、思わずゴクリと喉を鳴らした。
「寝込みを襲うなんてド変態の極みですね土方さん」
「な、な、な、なんでテメェがここにいんだよ!!!!」
「なんでって土方さんが呼んだんじゃないんですかい?」
呼んだ。確かに見回りが終わったら部屋に来るようにと原田に頼んだ。でも、タイミングが悪すぎる。
「部屋に入る前にノックしろ!!」
「しましたよ。気づかなかったのは土方さんの方じゃありやせんか。そんなに海さんに見とれてたんです?」
にやにやにや。
「見惚れてねぇよ!!つか、お前海が女になった事言いふらしやがっただろ!」
「言いふらしてなんかいませんよ。聞かれたから話しただけで」
「嘘ついてんじゃねぇよ。原田が食堂で聞いたって言ってたぞ」
「ああ、海さんが食堂に来てなかったから他の奴らが心配してたんですよ。それで"海さんなら土方さんに監禁されてる"って言いやした」
「なんでそうなるんだよ!!!誰が誰を監禁してるって!?!?」
「土方さんが海さんを」
食堂にいる隊士らにそんな説明をし、何でそうなったんだと聞かれて事情を話した。それで海が女になっている事を隊士たちが知った。とあっけらかんと話す総悟に頭を抱える。
「お前ってやつは一体何考えてんだ……」
「隠す方が気になるじゃないですか。それなら話しておいた方がいいですよ」
「そんなことして海に何かあったらどうする気だ」
「一応釘は刺しておきました。海さんに手を出したら首を刎ねると」
総悟なりに海を守ろうとしたのだろうが、土方してみれば不安要素が増えたことに変わりない。
「それと……さっき何人か外に出しておいたんで」
「出した?どういう意味だ」
「不届き者が数人いたんで」
総悟はただにやにやと気持ち悪い笑みを浮かべるだけ。何となく言っている意味が分かってしまい、土方は深いため息をついた。
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