忘れた頃にやってくる (銀時ver)
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……あんま変わんねぇな』
目が覚めて一番に感じたのは腹部の違和感。内蔵が締め付けられているようなよく分からない痛みが下半身を襲っている。
お妙に痛み止めをもらって寝ていたが一向に痛みが治まる気配は無い。寝る前に比べたら多少は良くなった気はするけど、それでも痛いものは痛い。
『なんなんだこれ。性別が変わったからっていきなりこんなことにならなくたっていいだろ』
土方たちが女になったときはこんなこと無かったはず。彼らは普通に動いていたし、元に戻らないと分かったあとも店をやっていた。こんな痛みに襲われているところは見たことがない。
『ふざけやがって……あのクソ野郎捕まえたら容赦しねぇ』
水をかけられただけでこんな目に合うなんて不幸すぎる。自分が一体何をしたんだとイライラしながら布団の中へと潜り込んだ。
「海、大丈夫か?」
モゾモゾと布団の中で動き回っていたところに銀時が顔を出す。
「まだ痛い?」
『治る気がしない』
「明日になれば落ち着くって。今日は一番痛みが酷いみたいだわ」
『世の女性陣はこの痛みを毎回我慢してんのか。すげぇな』
「それも人によるんだってよ。お前は重いタイプだってお妙が言ってた」
盆を手にして部屋に入ってきた銀時はそっと布団の横に座る。水分を取った方がいいと言われ、海は銀時の手を借りて身体を起こした。
「腹減ってないか?」
『腹が痛いのと気持ち悪いのとで今は食欲が出ない』
「なら後にするか。用意はしてあるから食えそうになったら声掛けて」
『ん、』
渡された湯呑みを両手で持ち、ゆっくりと口につける。飲みやすい温かさのそれは程よく甘い生姜湯だった。
「海」
飲み干した湯呑みが銀時の手に渡り盆へと戻る。声をかけられて銀時の方を見ると、とても辛そうな顔でこちらを見ていた。
「悪い、何もしてやれなくて」
『なんでお前がそんな顔すんだよ。こればっかしはどうしようもないだろ。銀が悪いわけじゃない』
「でもよ……」
『気にしなくていい。明日には落ち着くんだろ?ならそれまで寝てるから──』
横になろうと身体を動かした途端、股に感じた違和感とズキッとした痛み。身体から力が抜けてガクッと倒れ込みそうになったのを銀時が支える。
「何が気にしなくていいだ!こんな痛そうにしてんのに」
『波が……あるんだよ』
「波?」
『薬が中途半端に効いてんのか、強い痛みの時とそうでも無いときがある。だから自分でもよく分かってない……』
自分でもよく分からないのに銀時が理解できるとは思えない。それならこの痛みを耐えるしかないのだ。今日一日我慢出来れば明日には良くなる。そう信じて。
攘夷浪士に腹を刺されたのだと思えばいい。そうすれば股から流れている血もやり過ごせると思う。
『大丈夫。大丈夫だからそんな顔すんな』
「……嘘つくなバカ」
朦朧とする意識の中で必死に銀時を宥めるが、逆に銀時に励まされた。痛みで視界は滲むし、出血のせいで頭がグラグラする。
『ぎん』
「海、なんとかする。だから今は寝てて」
銀時に寄りかかりながら目を閉じて痛みに耐える。海が寝落ちるまでずっと銀時は下腹部を撫で続けていた。
.