忘れた頃にやって来る
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『土方』
「なんだ」
『部屋に持っていくとは聞いたが、"土方の部屋"とは聞いてない』
「仕方ねぇだろ。その格好のままで自分の部屋に居たらバレるだろうが」
てっきり海の部屋に持っていかれるのだと思っていたお重は土方の部屋の机に置かれた。部屋の前で困惑していると、土方に早く中に入れと声をかけられて中へと入る。
部屋で大人しくしていろ、の意味は"土方の部屋"で大人しくしていろだったのか。
「仕切りを出してやるからそっちの方にいろ。そうすれば他の奴らからは見えねぇだろ」
『それはそうだけど……』
「隊服は山崎にもう頼んである。届くまでの間はここにいろ。いいな?」
『ああ、そういうことか』
確かにこの格好のまま部屋にいたらまずい。隊士たにが海の部屋に来ることは稀だが、一切来ないということもない。近藤や土方が見つからない場合、彼らは海を頼ってくる。その時に部屋の戸を開けられたら一発でバレてしまう。
それなら土方の部屋にいた方が安全だろう。ここなら勝手に入ってくる輩はいない……いや、二人ほどいるけど。それ以外は絶対にない。
『土方、暇だから書類手伝う』
「書類?ああ、ならこれ頼む」
設置された仕切りから顔を出して書類を寄越せと手を伸ばす。机の上に積み重なっていた書類を無造作に掴むと、ペンと共に土方は海へと手渡す。
『なんだよ』
「いや……なんか……」
じっとこちらを見たまま土方はピタリと止まる。
『何か問題でも?』
「問題は無い……いや、問題か?」
『なんだよハッキリ言えよ』
「可愛いなと」
『…………は』
互いにキョトンとしたまま固まる。何を言っているんだこいつはと土方を凝視すると、相手はブワッと顔を赤くさせて海の頭を仕切りの奥へと押し込んだ。
「そ、そこからもう出てくんな!!」
『はぁ?出てくるなって言われてもそれは無理だろ』
「いいから出るな!!」
無茶言うな。トイレに行きたくなった時はどうしろというのだ。
『あっ……』
「な、なんだ!!」
『土方、女になったとき厠はどうしてた?』
「か、か、厠!?」
『あるはずの物がないだろ。どうすればいいんだよこれ』
「そ、そ、そ、そんなもん知るかッ!!!!!」
『いや、知ってんだろお前……』
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