風邪の日(銀時ver)
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「で……どうしてこうなった」
風呂を済ませてスッキリした状態で布団に寝かされる。一息ついたところで銀時に問い詰められ海は正直に風邪をひいたことを話した。
銀時は深いため息を吐いて頭を抱える。
「ったく……無理しすぎなんだよ。なんで休まねぇんだよ」
『休んでる暇なくて……』
「んなわけあるか。体調悪いやつを振り回すほどお前んところは人手足りてねぇの?」
そんなことは無い。ただ自分が動いた方が早いというだけだ。その事を銀時は知っているからじとりと海を冷めた目で見る。
「ここに来てることアイツら知ってんの?」
知らないと首を横に振ると再度ため息をつかれる。
「ちょっと連絡してくっから」
電話してくると言って立ち上がる銀時に海は手を伸ばす。ヒラヒラと揺れ動く着物の裾を指先で摘むと銀時は足を止めた。
「連絡しねぇとアイツらまた騒ぐだろ」
分かってる。土方に何も言わないでここに来てしまったから。帰らなかったら心配されるに決まっている。先程、攘夷浪士らを捕まえたばかりだ。報復として捕らわれたのではないかと思われかねない。
だから銀時に連絡してもらうのが一番なのだが。
『…………ぎん』
「離れんのイヤ?」
風邪をひくと人肌恋しくなる。そんなことないと思っていたのだが、これは確かに恋しくなってしまう。
銀時が居なくなるのが寂しくてたまらない。
「新八!いるか?」
畳に座り直した銀時は海の手を握りながら新八を呼び出す。
玄関先の掃除をしていたらしい新八はマスクに手袋の姿で寝室へと来た。
「どうしました?銀さん」
「悪い、ちょっと屯所まで行ってこいつがここにいることだけ伝えといてくれねぇか?お前、そのまま帰っていいから」
「わかりました。あ、お粥作ったので海さんが食べれそうになったらあげてくださいね」
「おう。ありがとな」
「どういたしまして。じゃあ、僕行きますね。海さんもお大事に」
こくりと頷くと新八は微笑んで寝室を出ていく。
パタンと閉められる襖。新八が離れていったのを見計らってから銀時は海の額へと手を伸ばす。ひやりとした手のひらが気持ちよくてそっと目を閉じた。
「熱上がってんな……なにか飲むか?」
『いい……大丈夫』
「飲めるようになったら言えよ?吐いてんだから」
素直にわかったと返せば、いい子だと頭を撫でられる。
優しい声と手に段々と涙腺が緩くなっていく。
子供の頃からの癖だ。風邪をひくとボロボロと涙が零れてくる。熱のせいでそうなってしまうのか分からないが、いつも泣いてしまうのだ。
「よしよし……よく頑張ったな」
ゴロンと海の隣に横になった銀時はあやす様に頭を撫で続けてくれる。銀時に縋るように抱きつけば緩く抱きしめ返された。
銀時の体温と心音を聞いているうちに意識がどろりと溶けだす。眠るまでそう時間はかからなかった。
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