忘れた頃にやって来る
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「それでどうするつもりなんだ?」
『どうするもこうするもないだろ。あの男を探す』
暫くして土方は女物の着物を手にして帰ってきた。青地の布に金魚の絵。まるで金魚鉢のような着物だった。
「顔は見たのか?」
『覚えてない。ボコボッコの信者を探し出せばいい話だろ?』
「デコボッコ教な。あいつらを探すと言ったってどうやって探すんだ。教祖が居なくなったあと、団体は壊滅して信者らも行方をくらましてんだぞ」
『そんなもん知るか。探し出すって言ってんだよ』
このままでいられるわけが無い。見つけるのが難しことは重々承知しているが、それでも探し出して解毒薬を手に入れるしかないのだ。
「それなら山崎にも手伝わせるか。あいつ今暇だろう」
『自分でどうにかするからいい。監察の仕事で疲れてるだろ』
「暇さえあればミントンしてるやつのどこが忙しいんだ。ラケット振り回してる暇があるなら動けるだろ」
『……でも』
「お前のことは伏せておいてやる。だからこの件は──」
「土方さん。俺のところに土方さんの書類が紛れ込んでやしたぜ」
スパンッと戸がいきなり開けられ、土方と海はビクッと肩を揺らす。
「いきなり入ってくるんじゃねぇ!!」
「あれれ。なんですかい。まさか土方さん自分の部屋に嬢を呼んだんですか?」
「ちがッ」
「まったく。勘弁してくだせぇ。ここは真選組屯所。そこらのラブホテルじゃないんですから」
「だから違うって言ってんだろうが!」
書類を土方に渡した総悟はちらりと海の方を見てニヤニヤと気色悪い表情。
「土方さん、あんたいくらなんでもこれはないですよ。海さんに相手されないからって海さんに似た嬢を連れてくるなんて。変態じゃないですか」
「だから違うって言ってんだろうが!こいつは……その、」
『総悟。土方をからかうのはその辺にしておけ』
「……あれ?海さん……?」
『なんだよ』
「正真正銘で?」
『嘘をつく理由がどこにある』
「だって……ならなんでそんな格好してるんですか?それキャバ嬢が着るような服じゃありやせんか」
そう言われて海は土方をギロっと睨む。
「そんな目で見るんじゃねぇ!仕方ねぇだろう!女もんの着物なんざ買ったことがねぇんだから!」
『どうりで派手だとは思ったが……お前センスもないのかよ』
「お前にはそんなこと言われたくないんだけどぉ!?」
「それより海さん、なんでそんな格好してるんで?まさか土方さんに言い寄られたんですか?」
『違う。隊服じゃ合わなくなったんだよ』
「どういう意味ですかそれ」
知られたものは仕方ないと海は総悟にこれまでの事を話した。静かに聞いていた総悟は目を輝かせながら海を見る。新しいオモチャを見つけた子供のように笑いながら。
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